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「健診結果の厳格化」が進み、その流れに抗するのは難しくなる【2025年の医療を予想する】#2

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月31日 9時26分

「健診結果の厳格化」が進み、その流れに抗するのは難しくなる【2025年の医療を予想する】#2

メタボの新基準案が発表された

【2025年の医療を予想する】#2

 CKD(慢性腎臓病)、CLD(慢性肝臓病)、アイフレイルなど、老化に伴う病気の啓発広告は、早めに病院を受診することを人々に促しています。そして、その動機付けとなるのが健康診断です。健診で気になる数値が出た人は、ただちに医者に行きましょう、というわけです。「老化は病気」が世間に広まるにつれて、定期健診の重要性はますます高まっていきます。

 なかでも重要なのが「基準値」です。検査内容がよく分からなくても、基準値をオーバーしていると言われれば、大抵の人は心穏やかではいられません。

 そういうことを狙っているのかは分かりませんが、今年は複数の大学や病院が共同で、メタボの新基準案を発表しました。その中身がなかなか厳しいもので、たとえば腹囲については「男性83cm(現在は85cm)、女性77cm(同90cm)」としています。また中性脂肪も現在の150mg/dl未満を130mg/dl未満にしようと言っています。

 もちろん、この案がすぐに採用されることはないでしょう。しかし多くの学会が基準値の厳格化を提唱し始めています。日本肝臓学会は、2023年6月に「奈良宣言」を発表し、ALTが30U/Lを超えたらかかりつけ医等への受診を推奨しています。また日本高血圧学会は、75歳未満の成人では、診察室血圧130/80mmHg、家庭血圧125/75mmHgを目標値として掲げています(本来の基準値は、それぞれ140/90mmHg、135/85mmHg)。

 さらに最近では、基準値よりも病気の予防を目的とした「管理目標値」が重要視されるようになってきています。基準値とは、健康な人を大勢集め、測定値の上位と下位の、それぞれ2.5%を除いた値、つまり健康な人の95%が収まる範囲のことです。しかし管理目標値は、通常の基準値よりも厳しく設定されています。

 たとえばLDL(悪玉)コレステロールに関して、数年前まで基準値は65~163mg/dlでした。しかしいまは、管理目標値の60~140mg/dlが、そのまま基準値とされています。つまり140mg/dlを超えたら、動脈硬化などの予防的治療の対象になるというわけです。

 こうした動きに対抗して、「健診結果にあまり神経質になる必要はない」という医師や専門家も少なくありません(筆者もそちら側に組しています)。しかし健診結果の厳格化は、若い世代で支持を集めていますし、製薬メーカーや健康食品メーカーにとってもウェルカム。そうした流れに抗するのは難しくなってきています。

(永田宏/長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授)

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