1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

ジェネリック医薬品不足が解消する可能性はかなり低い【2025年の医療を予想する】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月4日 9時26分

ジェネリック医薬品不足が解消する可能性はかなり低い【2025年の医療を予想する】

ジェネリック不足の解消はまだまだ先…

【2025年の医療を予想する】#6

 ジェネリック医薬品の慢性的な不足が続いています。日本製薬団体連合会によれば、2024年11月時点で、全ジェネリック製品の25.2%が限定出荷(追加注文等に応じられないなど)や供給停止になっているとのこと。ちなみに2年前(2022年11月)の数字は25.3%でした。ですから2025年中も、不足が解消される可能性はかなり低いと言えそうです。

 ジェネリック不足の直接の原因は、2020年以降に次々と明らかになった、ジェネリックメーカーによる不正行為とされています。品質試験を適切に行わなかったり、承認された製造方法とは異なる手順で製造するといったことが、業界全体で常態化していることが判明し、出荷停止などの処分を受ける会社も相次ぎました。

 しかしそれだけでは、何年も不足が続くことはないでしょう。

 ジェネリックは薬価をギリギリまで下げられているため、利益率が低い市場になっていますし、作るほど赤字というものも少なくないと言われています。しかも小規模な会社が多く、優秀な人材が集まらず、設備投資はままならず、品質管理にも金と時間をかけられない、といった構造的な問題を抱えています。加えて薬の有効成分である「原薬」の多くを、インドや中国からの輸入に頼っており、時々、品質問題を起こして出荷が止まったりします。つまり上流工程からして、かなり不安定なのです。

 政府は業界再編を促したり、安定供給に貢献したメーカーに対して、ご褒美に薬価を少し引き上げようなどと言っていますが、効果が出るのに時間がかかりそうです。

 とはいえ、「日本は薬を使いすぎている」との指摘もあります。とくに何カ所もの病院に通っている高齢者に対して、同じような薬が2重、3重に処方されている可能性があります。

 そこで注目されるのが、マイナ保険証です。これによって誰にどんな薬が、どれだけ処方されているかを「見える化」することが可能になり、薬のムダを大幅に削減できるはずです。多重処方を減らすだけで、ジェネリック不足が意外とスッキリ解消するかもしれません。ついでにポリファーマシー(薬が多すぎてかえって健康を損ねること)も防げるはずです。

 マイナ保険証については、その負の部分ばかりが強調されていますが、うまく使ってメリットを活かすほうが、日本の未来にとってプラスでしょう。社会のデジタル化の波は、もう誰にも止められないですし、医療のDX化は政府の基本方針でもあります。まずはジェネリック不足の解消に、マイナ保険証を活用してはどうでしょうか。

(永田宏/長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください