先が思いやられる石破外交…トランプ大統領就任前には訪米せず、会談先送りの吉凶
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月4日 11時32分
昭恵氏には会った(メラニアさんのXから、共同)
結局、行かないのか──。石破首相はトランプ米次期大統領との会談について、今月20日の就任式の前には行わない方向だと、昨年末の30日に新聞テレビが一斉に報じた。トランプ氏側から、今月中旬なら会談に応じられるとの連絡を受け、訪米を調整していたとされるが、どうやら見送るようだ。「就任前では十分な成果が得られない」「就任後に落ち着いて正式な首脳会談を開く方が双方にとって望ましい」と判断したなどと解説されている。
「外務省の審議官クラスには、『行くチャンスがあれば行った方がいい』という意見もありました。しかし、どういう形で会えるかが大事。多人数の場所で短時間会うだけなら意味がない。急ぐのは得策ではないという判断なのでしょう。石破氏は早期に中国にも行きたいと考えているようで、訪中より先に訪米したい。就任式後の早い時期、2、3月ごろの訪米を調整するとみられます」(ジャーナリスト・山田惠資氏)
石破首相は、昨年11月の南米訪問の帰途に米国に立ち寄る形でトランプ氏との会談を模索したが、その際は「就任前は法律上の制約から他国の首脳と会わない」と突っぱねられていた。しかし、トランプ氏は先月15日に安倍元首相の妻・昭恵氏に面会すると、翌16日の記者会見で、就任前の石破首相との会談について「あり得る」と態度を一変させていた。
■どちらに転んでも…
2月以降の訪米で再調整ということだが、就任直後のトランプ氏が日本に構っていられるのかどうか。石破首相にしても、少数与党のため来年度予算案の成立に苦慮するのは必至で訪米するチャンスがあるのかどうか。そうなると、5月の大型連休か、下手したら6月のG7サミットまで会えない可能性もある。やっぱり就任前に会う方がよかったのか。
「会わないと『トランプ氏は昭恵氏とは会ったのに』と保守派や野党から批判される。会ったとしても、日米地位協定見直しの話を出せなかったり、高い注文を付けられたりとトランプペースになったら批判される。どちらに転んでも石破さんにはマイナスでしょう」(山田惠資氏)
国際ジャーナリストの春名幹男氏もこう言う。
「石破首相は何事にも慎重ですから、トランプ氏に積極的には会いたくないのでしょうね。もちろん、早い訪米が必ずしも成功するわけではない。いま訪米しても、トランプ氏が喜ぶような土産もない。一方、トランプ氏も記者に質問されたので『会ってもいいよ』と答えただけで本心はよくわからない。ただ、トランプ氏のことですから、1月中旬なら可能と伝えたのに来なかった、とへそを曲げる可能性はある」
石破の対米外交……先が思いやられる。
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