4月からワクチン定期接種…帯状疱疹を知る 大幅増加の理由は「高齢化」と「水疱瘡の子供減少」
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月7日 9時26分
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ
帯状疱疹のワクチンが、今年4月から定期接種になる。対象は65歳で、最初の5年間は66歳以上も対象になる(70、75、80歳……と5歳刻み。101歳以上は今年に限り全員対象)。この帯状疱疹、日本も含め世界的に患者数が増えている。
「宮崎県では1997年から2023年で人口が11.5%減少していますが、帯状疱疹の発症患者数は54.4%と大幅に上昇しています」
こう言うのは、疫学調査「宮崎スタディ」の責任者を務める外山皮膚科院長、外山望医師だ。1997年に開始した同調査は、現在も進行中。現時点で約14万人のデータが集まっており、帯状疱疹の疫学調査としては世界最大規模となる。
帯状疱疹の患者数が増加している理由として、主に2つ挙げられる。ひとつは高齢化。帯状疱疹の患者は中高年に多く、80歳までに3人に1人が発症するといわれている。世界的に高齢化が進んでおり、それに伴って患者数も増えるのは当然の結果だ。
もうひとつは、これまで発症率が低かった層で発症者が増えていること。
「宮崎スタディを開始した1997年では、20~40代が患者数が一番少ない世代で、50代になって急に増えるという状況でした。ところが今は、20~40代の発症率が最も上がってきています。1997年と2022年の発症率を比較すると、20~29歳で1.6倍、30~39歳で2.7倍、40~49歳で1.9倍となっています」(外山院長)
なぜ20~40代で発症者が増えているのか? それは、2014年10月1日から始まった水疱瘡(水痘)ワクチンの定期接種と関係している。
水疱瘡は一度感染すると、水疱瘡のウイルスに対しての免疫を獲得する。だから、例えば風邪のように何回も繰り返し発症しない。感染によって獲得した免疫は時間の経過とともに弱くなるが、再び水疱瘡のウイルスにさらされることで免疫の機能が強化される。これをブースター効果という。
20~40代の子育て世代は、子どもが水疱瘡に感染することでブースター効果を得られていた。ところが水疱瘡ワクチンの定期接種で水疱瘡にかかる子どもが激減。ブースター効果を得られる機会も激減した。それが帯状疱疹にどう関わってくるのか。次回、より詳しく説明する。
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