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迫る前代未聞の「現職大統領逮捕」…水面下でうごめく韓国与野党それぞれの思惑

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月7日 11時12分

迫る前代未聞の「現職大統領逮捕」…水面下でうごめく韓国与野党それぞれの思惑

追い込まれての強権発動(韓国の尹錫悦大統領)/(C)日刊ゲンダイ

 韓国の尹錫悦大統領が宣布した非常戒厳による混迷は深まり、権力闘争は激しさを増す一方だ。尹大統領を内乱容疑で調べる高官犯罪捜査庁(高捜庁)は出頭要請を3度拒まれ、合同捜査本部を構える警察と公邸敷地内に踏み込んで拘束令状執行を試みるも、武装した大統領警護庁に阻まれ断念。期限が切れた6日、裁判所に再請求した。

 捜査当局は「次回は積極的に拘束を試みる計画」と前のめりで、前例のない「現職大統領の逮捕」が現実味を帯びてきた。

 この1カ月の韓国政界の動きは「全く先が読めず、まるでドラマや映画の世界」(大手紙特派員)。前代未聞の展開だ。レームダック大統領が政敵潰しで非常戒厳に走ったのもさることながら、大統領選の前倒し狙いで手段を選ばす猛攻する野党も凄まじい。

 ザッと経緯を振り返ると、昨年12月3日に尹大統領が非常戒厳宣布。国会で過半数を占める野党に20回超も弾劾を乱発され、2025年予算の削減も強いられ、追い込まれた末の強権発動だった。与野党の抵抗で6時間ほどで解除。尹大統領に建議した同窓生の前国防相は逮捕後に移送された拘置所内で自殺未遂したものの、内乱の重要任務に従事したとして先月末に起訴された。警察は大統領室や与党「国民の力」の関係者ら計49人を被疑者として調べ、尹大統領をはじめ閣僚ら13人は立件された。

 目下、与野党攻防の舞台は憲法裁判所だ。2度目の採決で弾劾訴追された尹大統領をめぐり、罷免の可否を審理中。6カ月以内に判断が下される。

「ポスト尹」は真っ黒

「憲法裁は判事9人で構成され、6人が賛成すれば大統領は罷免される。当初は3人が欠員で、有利に働くとみた与党が補充を拒否。結果、大統領権限代行の首相も弾劾訴追され、代行の代行となった副首相は渋々2人を任命した。14日予定の第1回口頭弁論には、大弁護団を結成した大統領が出席する見通しです」(在韓メディア関係者)

 罷免は回避したい尹大統領、政権交代を阻止したい与党は時間稼ぎ。一方、最大野党「共に民主党」は短期決戦で李在明代表の大統領就任を急ぐ。3年前の大統領選で惜敗した李が超ド級の司法リスクを抱えているからだ。被告人となった刑事裁判は複数に上り、大統領選をめぐる公選法違反(虚偽事実の公表)で昨年11月の1審判決で有罪を食らった。懲役刑の執行猶予が確定すれば国会議員失職、公民権停止10年だ。

「李氏は大韓民国随一のダーティー政治家。周辺で5人が不審死を遂げている。最高裁まで争う構えですが、法律上、1審判決後90日以内に2審判決、さらに90日以内に最高裁判決を出す必要がある。デッドラインは2審が2月中旬、最高裁が5月中旬。有罪確定前に滑り込み大統領就任を画策している」(前出の関係者)

 ノーサイドは遠い。

  ◇  ◇  ◇

 前代未聞の事態に韓国政界は大揺れだ。まさか尹大統領の死刑もあり得るのか。コリア・レポート編集長の辺真一氏の見解は――? ●関連記事【もっと読む】『韓国・尹錫悦大統領に前代未聞の出国禁止措置…逮捕ほぼ確実も「死刑」はあるのか?』で詳報している。

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