総額70億円注ぎ込んだ巨人は本当に「勝って当たり前」か? 大補強シーズンの勝率とその後
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月7日 11時32分
阿部監督と甲斐拓也(C)共同通信社
「補強した今年の戦力を考えるならば勝ってしかるべき。リーグ2連覇、その上の日本一を目指していきたい」
昨6日、巨人の国松球団社長が職員の前でこう訓示した。
昨年は4年ぶりにリーグ優勝を果たしたものの、CSでDeNAに敗れ、日本シリーズ進出を逃した。今季は13年ぶりの日本一を目指し、前中日のライデル・マルティネス(28)、前楽天の田中将大(36)、ソフトバンクからFAで甲斐拓也(32)、新助っ人としてトレイ・キャベッジ(27)を獲得。4年50億円以上のマルティネスを筆頭に総額70億円といわれる大補強を行っただけに、フロントが「勝って当然」と意気込むのは分かる。
ただ、必ず優勝できるかといえば、そうとも限らない。原前監督が最初に就任した2002年以降の大補強の年を見てみると、結果に直結したのは、小笠原や谷を獲得した07年、ラミレスら他球団の主砲、エース3人を同時獲得した08年にリーグ連覇。村田、杉内を補強した12年に日本一となり、丸が加入した19年からリーグV2を達成した一方で、沈んだ年も多い。
ヤクルトの主砲・ペタジーニを補強した03年、小久保、ローズの大砲2人を獲得した04年はともに3位。豊田、野口が加入した06年、陽、山口俊、森福と史上初のFA3人取りが成功した17年はいずれも4位。梶谷、井納をDeNAから獲得した21年は3位。さる巨人OBがこう言う。
「“その後”も問題です。大物を補強すれば、優勝しても育成が滞る。例えば12年の日本一後にリーグ3連覇を達成して黄金時代かと思ったら、その後4年間V逸で暗黒時代に突入。ここから昨年まで12年間も日本一になっていない。今季の目玉戦力であるマルティネスはまだしも、田中がローテ入りする先発陣、FAで甲斐が入ることで捕手は固定されるだろうから、育成の遅れが後に響きかねない」
他球団の主力を補強した年に、リーグ優勝する確率は40%強。日本一は1度だけだ。球団社長の「勝って当たり前」のゲキは、重圧となって阿部慎之助監督(45)にのしかかる。
◇ ◇ ◇
そんな巨人だが、他にも不安のタネがある。優勝に貢献した有能スコアラーがひっそりとライバル球団に移籍したからだ。つまり、「頭脳&膨大なデータが丸ごと流出した」と言っても過言ではない。いったい巨人で何が起きているのか。
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