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“お花畑”の何が悪い! 渡辺えり×ラサール石井【同世代 辛口対談】私たちの「戦争と平和」

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月8日 9時26分

渡辺「20年ほど前にネットの掲示板で、湾岸戦争について論争になりまして、『自衛隊の海外派遣に賛成で、自衛官が殉職するのは当たり前だ』と言う人と、じゃあ直接話しましょうということになって喫茶店で会ったことがあるんです。いかつい右翼だと思ったら電器屋の普通のおじさんで肩透かし。でも2時間話しても彼の考えは変わらなかった。昔は平和憲法を守るというのは私たちの常識だったから、そのおじさんは少数派だったけど、今はSNSで『平和が大事』と訴えるとバッシングされる時代。関東大震災で朝鮮人虐殺はなかったというのを信じ込む人たちが多くなったじゃないですか。まっとうな人たちが、かつての少数派に逆転されたんです。よく平和主義者は“お花畑”と揶揄されるけど、お花畑だって種をまき、水をやらなきゃ花は咲かない。あえてお花畑のどこが悪いのかと言いたくなります。演劇というのは“お花畑”をつくることじゃないのかな」

石井「保守派の論客といわれる人たちは、いかにうまく立ち回って現実と折り合いをつけるかに腐心しているように見えます。コストパフォーマンスもいいし、儲けも大きい。それを支持する人たちも、あんなふうに生きれば勝ち組になれるか、勝ち組の気分を味わえると思っているようだけど、僕が一番嫌いな言葉をあえて使えば『現実はそんなに甘いものじゃない』。コスパは悪いかもしれないけど私は、戦争なんかなくなって誰も死なない傷つかない世界という理想を持っている。もっとうまく立ち回れと言われても、それが自分の生き方ですからね」

自立した女性の新「白雪姫」は断固支持します

 ──不寛容社会、間違いを許さない社会になって、生きづらいように思います。

渡辺「昔と違って演劇界でも合理化、分業化が良しとされ、『それは私の専門外ですから』と投げ出さず、医者の『赤ひげ』のように、どんな病気やケガにもできるだけ向き合って人を助けるという感覚が、芝居にも必要だと思います。もちろん、セクハラ・パワハラは論外ですが、余白のある部分があるからこそ芝居は楽しいわけで、過度な自主規制はかえってギスギスするのではないかと思います」

石井「今年公開されるディズニー映画『白雪姫』が今、大炎上していて、予告動画を見ただけで否が6~7割。今の白雪姫は王子のキスで目覚める受け身の姫ではなく、女性として自立して、7人の小人を引き連れて王国を取り戻す話なんです。私からすればいくらなんでもそれは白雪姫じゃないだろう。女性解放やLGBTに配慮しすぎじゃないかと思うんですよ」

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