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球団の年俸格差と経営格差の構造…24年は“ぜいたく税”が過去最高額の3億1131万ドルを記録(鈴村裕輔)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月8日 9時26分

球団の年俸格差と経営格差の構造…24年は“ぜいたく税”が過去最高額の3億1131万ドルを記録(鈴村裕輔)

アスレチックスの、昨2024年までの本拠地オークランドコロシアム(C)ロイター/USA Today Sports

【メジャーリーグ通信】

 2024年の大リーグでは、年俸総額の基準値を超過した球団数が過去最多の9球団となり、課徴金であるぜいたく税の3億1131万ドルも過去最高となった。

 一方、昨季の開幕時点での年俸総額がドジャースの課徴金未満であった球団も存在する。レイズ、マーリンズ、オリオールズ、ガーディアンズ、パイレーツ、アスレチックスだ。

 これらの球団は本拠地にする都市の人口が30万人から60万人程度の中規模都市であり、隣接する地域を含めた都市圏としては一定の大きさを持つものの、都市そのものに限ればニューヨークやロサンゼルス、シカゴなどに比べて市場規模が相対的に小さいことが共通する。実際、パイレーツは本拠地PNCパークがしばしば「“Pirates Need Cash”(パイレーツは資金が必要だ)の略称だ」と揶揄されるほど資金力に乏しい球団として知られる。

 また、ナショナル・リーグで21年以来毎年観客動員数が最低のマーリンズも成績が振るわない球団のひとつである。

 ただ、大リーグ機構による収益分配制度を活用したり、他球団の構想から外れた選手と契約して年俸を抑えたりして、単年での黒字を維持している。その中で、最も深刻な状況に置かれたのがアスレチックスである。

 本拠を置くオークランドの治安が急速に悪化したことで他地域から観客を集めることを難しくし、オークランドコロシアムの老朽化が敬遠されて有力選手との契約に至らず、他球団とのトレードで選手を得ようとしてもアスレチックスが提示する選手に相手側が興味を示さない事例が多いのが現状である。

 例えば、23年には全米の主要都市の犯罪発生率がおおむね低下する中で、オークランド市は強盗、窃盗、自動車盗難が前年比で2ケタの増加を示しており、地元紙のサンフランシスコ・クロニクルはオークランドの住民の30人に1人が自動車を盗まれたと分析している。

 あるいは、オークランドコロシアムは1960年代から70年代にかけて流行したNFLとの兼用球場であり、現在の大リーグで主流となっている左右非対称でファウルゾーンが狭く、客席とグラウンドの距離も近い球場に比べると時代遅れの感は否めない。

 こうした状況から、アスレチックスは22年から毎年、大リーグで最低の入場者数を記録し、最終的に今季からサクラメントに、そして28年にはラスベガスに本拠地を移転することになった。

 シーズン開幕前はどの球団にも勝利の可能性はあるものの、経営面では格差の構造が横たわっているのである。

(鈴村裕輔/野球文化学会会長・名城大准教授)

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