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演劇界の同志であり盟友である渡辺えり氏の前代未聞・前人未踏の挑戦に参加(ラサール石井/タレント)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月9日 9時26分

演劇界の同志であり盟友である渡辺えり氏の前代未聞・前人未踏の挑戦に参加(ラサール石井/タレント)

(提供写真)

【ラサール石井 東憤西笑】#237

 皆さま、新年おめでとうございます。今年は私も70歳になる年。「数えで」なんて最近あまり言わなくなったが、古希が間近に迫っている。

 私の祖父が72歳で亡くなった。そりゃあもう立派なおじいちゃんだった。私の茶色いクレヨンをチョコと間違え食べたりしてた。その境地に私も至れるのだろうか。

 そして私と同い年で、演劇界の同志であり盟友である渡辺えり氏が一足先に古希となり、今日8日初日で下北沢本多劇場で渡辺えり古希公演の幕を開ける(稽古場最後の日の5日が、くしくも誕生日であった)。そして私も出演させていただいている。

 過去に上演された「鯨よ!私の手に乗れ」と「りぼん」の2本立て公演。黒島結菜、室井滋、木野花、宇梶剛士、シルビア・グラブら10人以上のメインキャストに加え、30人近い若手俳優、総勢40人で挑む。

 テーマはどちらも世界平和とフェミニズム。えりさんの永遠のテーマだ。昨今戦争をテーマにした演劇を若手劇団がよく上演しているが、どれも、どストレートな芝居が多い。昔からそれらをファンタジーとして紡いできた劇作家が渡辺えりであり、それは唐十郎氏から続くアングラ演劇の系譜だ。

 ただでさえ、歌やダンスや笑いなど、えりさんがやりたいことを詰め込んだ芝居なのに、またそこに新たなものを付け加え、しかも古希なんだから好きにやらせてくれと、昔は長過ぎると泣く泣くカットした部分も全てやる。しかも2本立て。稽古場は2つの芝居の衣装、小道具であふれかえり、若手はさらに生で楽器も演奏する。

 そしてなんと、昼夜で2本、別々の芝居を上演し、それが8日間連続という前代未聞、前人未到の挑戦である。

 おもちゃ箱をひっくり返したようなとよく言うが、これは裁縫箱も道具箱も宝箱も全部ぶちまけたような芝居だ。渡辺えりでなければ出来ない、また、人も付いてこない、演劇史的にも稀有なお祭りだ。

 19日まで。目撃せよ。

(ラサール石井/タレント)

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