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米サイエンス誌の2024年医療ブレイクスルー…有効性99.9%のHIV薬(シェリーめぐみ/在米ジャーナリスト)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月13日 9時26分

米サイエンス誌の2024年医療ブレイクスルー…有効性99.9%のHIV薬(シェリーめぐみ/在米ジャーナリスト)

半年に1度の注射でHIV感染がゼロに(C)iStock

【ニューヨークからお届けします】

 アメリカの権威ある科学雑誌「サイエンス」が、2024年の科学的ブレイクスルーとしてHIV薬レナカパビルを選び大きな話題を呼んでいます。その最大の理由として示されたのは、99.9%という驚きの有効性です。

 1980年代から90年代にかけて世界中で猛威を振るったエイズは、一時は不治の病として恐れられていました。しかし治療薬の進歩により、適切な治療を受けながら普通の生活が送れるようになっています。

 しかし現在でも、エイズを引き起こすHIVウイルスに感染する人は、世界で毎年100万人を超えています。感染を抑えるワクチンもありません。そんな中、このレナカパビルは、ワクチンに次ぐ効果がある薬として注目されたのです。

 レナカパビルは半年に1度、注射によって投与される薬です。開発した製薬会社ギリアド社が、アフリカに住む若い女性を対象に大規模な有効性試験を行ったところ、この注射によってHIV感染がゼロになったことがわかりました。

 またその後世界で実施された同様の臨床試験は、男性と性交渉を持つ多様な性別の人々を対象に行われましたが、99.9%の有効性が報告されました。もしレナカパビルが曝露前予防薬(PrEP)として使用されれば、世界の感染率を大幅に低下させるだろうと、多くのHIV研究者は期待しています。

 さらに、この薬が2024年のブレイクスルーに選ばれた理由がもう1つあります。

 レナカパビルが標的とするHIVのカプシド(ウイルスゲノムを取り囲むタンパク質の殻)の構造が解明されたからです。HIV以外の多くのウイルスも、独自のカプシドを持っています。つまり同様のカプシド阻害剤が、他のウイルス性疾患と闘える可能性があるわけです。

 世界中の医療関係者や研究者が、この薬レナカパビルに視線を送っています。

(シェリーめぐみ/ジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家)

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