感染症の家庭内感染を防ぐために…生活スペースはどう分ければいいのか?
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月14日 9時26分
くしゃみや咳から感染(C)iStock
インフルエンザや新型コロナなどの呼吸器感染症が流行中だ。家族の誰かが発症した場合、家族内感染を防ぐにはどう行動すればいいのか? 公衆衛生が専門の岩室紳也医師に聞いた。
「感染症対策で最も重要なことは感染経路の遮断です。インフルエンザや新型コロナでは、感染した人の咳やくしゃみに含まれるウイルスを吸い込み、1メートルの範囲内で感染する『飛沫感染』や、ウイルスが空気中に飛び出し1メートル以上離れた人に感染する『エアロゾル感染』、ウイルスが付着したタオルや手すり等に触れた手で口や鼻、目などに触るなどして感染する『接触感染』が中心です。飛沫が付着した食べ物経由での感染も否定できません。いずれの場合もウイルスが空気中に滞留しないように空気の流れを作る対策が重要です」
家族に発症者が出たら、まず“隔離部屋”を作り、発症者とそうでない人の生活スペースを分けることは大切だ。ただ、発症前にすでに他の家族が感染している可能性も否定できない。そのことを踏まえ、以下の対策を徹底することが重要だという。
「発症した人は数日間はウイルスを排出しています。近距離での会話は避け、会話するときは正面に座らないようにしましょう」
食器やタオルなども別個にする。鼻をかんだティッシュには多くのウイルスが含まれている。専用のビニール袋、ゴミ等を用意する。
手洗いも徹底し、「帰宅後」「トイレ後」「食前」「鼻をかんだり咳をした後」「鼻をほじる前」だけでなく、「発症した家族と物のやり取りをした後」も流水と石鹸で丁寧に手を洗う。使用した後の洗面台の水ぶき掃除も欠かせない。
手洗いの回数にも注意したい。1日11回以上の手洗いは風邪の発症リスクを50%以下にするとの研究結果がある。
また、インフルエンザの流行期は意識して爪を切ること。鼻毛は外から見えない程度に抑え、切りすぎないようにする。
「呼吸器感染症の有効な予防策のひとつが鼻呼吸です。乾燥して冷たい外気を鼻で吸い込むと上咽頭では温度は30度程度、湿度は90%前後までに加温・加湿されて下気道に送られると言われます。一方、口には鼻腔ほどの加温・加湿効果がなく、冷たく乾燥した空気が直接下気道に入りやすく、気道を痛めやすい。しかも、鼻呼吸なら鼻の粘膜と鼻毛でウイルスがからめ取られる。鼻毛は切りすぎてはいけません」
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