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俳優・堀内正美さんは「がんばろう!!神戸」の発案者 阪神・淡路大震災から30年の「思い」とは…(あの人は今)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月16日 9時26分

 その後も、毎年、「希望の灯り」や講演活動を続けている。

学生運動に挫折したことが人生の転機に

 さて、堀内さんは東京生まれ。父は教育映画の監督として知られる堀内甲。小学生の時に父の本棚にあった土門拳の写真集「筑豊のこどもたち」を見て社会の格差や矛盾を感じた。高校時代に全共闘運動に飛び込みデモの日々。浪人時代には坂本龍一もメンバーの一人だった「全都浪人共闘会議」を結成し、桐朋学園大学に進学しても三里塚闘争に参加した。しかし、地元の農民から「あんたらはいいなぁ……帰るところがあって。わしら、帰るところないから」という言葉に打ちのめされ、実生活に根ざさない自分の運動に挫折。演出家の蜷川幸雄に誘われて舞台の演出助手になった。

 そんなある日、TBSのプロデューサーにスカウトされる。それがデビュー作「わが愛」で、加藤剛の弟役だった。NHKの朝ドラ「鳩子の海」ではヒロインの相手役を演じて一躍全国区人気に。

 だが、84年に突然、神戸に移住した。

「元々、役者になるつもりはなかったし、若い頃は社会を変えようと学生運動をしていたのに、結局挫折して芸能界でそこそこ稼いでいることにどこか負い目があったのかもしれません。ボランティア活動に立ち上がったのは、若い時の情熱がよみがえったのでしょう。ただ、胸を張って言えるのは、活動に公的な補助金は一切もらっていないということ。逆に持ち出しが多く、薬局経営者だったからできた活動だったともいえます。ページ数の関係で本に書ききれなかったことのひとつは、行政に任せきりではいけないということ。自分たちの命は自分たちで守る。そのために人と人の結びつきが大事なんです。震災で途方に暮れている人たちに周りの地域からたくさんのおむすびが届けられた。おむすびは人々が支え合う『結びつき』の象徴でもあるんです。私が朝ドラ『おむすび』に出たのもその意味で必然ですね」

 17日に文化放送の震災30年特別番組に出演する。

(取材・文=山田勝仁)

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