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北陸新幹線の大阪延伸は大混乱の極み…京都の仏教会も「千年の愚行」と一喝

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月16日 9時26分

北陸新幹線の大阪延伸は大混乱の極み…京都の仏教会も「千年の愚行」と一喝

推進派トップの西田昌司参院議員(C)日刊ゲンダイ

 北陸新幹線延伸に関わる与党整備委員会(委員長・西田昌司参院議員)は昨年12月、北陸新幹線の大阪延伸工事の2025年度の着工を断念すると発表した。

 東京・金沢間を走っていた北陸新幹線は昨年3月に福井県敦賀まで開通。与党やJR西日本は将来的には小浜、京都を経て、新大阪まで延びる構想をしている。

 大阪延伸は昨年8月の台風でも運休した東海道新幹線を補完する新しい東京・新大阪ルートの新幹線として位置づけられる。福井県や大阪府は工事に積極的だが、京都府では反対の声は強まるばかりだ。

 大阪延伸の工事期間は28年を要し、総事業費は当初予定の3.9兆円から5.3兆円へと増額。巨額費用はJR貸し付け分を差し引き、3分の2を国、3分の1を地元自治体が負担するが、京都府の財政は厳しい。

 さらに批判的な声が強いのが環境への懸念だ。予定されている小浜から京都へ南下するルートは8割が地下約40メートルの大深度を走るとされる。

 工事主体である鉄道・運輸機構や国土交通省らは、新しい京都新駅の候補地として、JR桂川駅周辺を通る「桂川案」、京都駅周辺を通る「南北案」「東西案」の3つの詳細ルートを示している。

「地上を走る滋賀県の米原ルートは東海道新幹線への乗り換えが生じることや、さまざまな立場の地権者も絡んでくる。地下トンネルならばカネはかかるが、土地の問題は起きない」と京都市の事情通は説明する。

京都府酒造組合連合会、伏見酒造組合も猛反発

 しかし、京都ルートには昨年12月、京都府酒造組合連合会、伏見酒造組合も動いた。「地下水脈の遮断や水質の変化、井戸の渇水などが危惧される非常事態」であり、地下水に影響が出ないルートを求める要望書を京都府と京都市に提出した。

 1100の寺院で構成される京都仏教会(有馬頼底理事長)も後を追うように懸念を表明。京都府市に「尊い自然は決して人の支配の対象ではない」と「千年の愚行」と再考を申し入れた。

 2001年から京都市内で延伸問題を調査し、反対運動を続けている石田紀郎・元京都大教授は、「酒造組合や仏教会が動くとは思わなかった」と話す。与党プロジェクトチームの西田委員長は、京都にはすでに地下鉄が走っており、地下水が抜ける恐れはないと説明しているが、石田元教授は疑問視する。

「リニア工事では岐阜県や名古屋で農地の水が抜けている。さらに京都ルートの場合、トラック100万台以上に及ぶとされる、掘った土砂をどこに運ぶのか。東海道新幹線は東京や大阪に港があったからできたが、京都府には舞鶴港しかない。さらに延伸工事では環境基準を超えるヒ素が出る懸念もある」

 これでも「千年の愚行」を推進するのか。

(取材・文=平井康嗣/日刊ゲンダイ)

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