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【高校サッカー】選手権決勝で敗れた流経大柏を見ながら、43年前の帝京の準々決勝敗退を思い出した【六川亨のフットボール縦横無尽】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月17日 9時26分

 しかし、準々決勝ではFWの保坂孝や羽中田昌を擁する韮崎(山梨)に0-2で完敗を喫した。 試合後の帝京・古沼貞雄監督は「ゴールを取れるからと誰もが攻めた結果、点は取れたもののオーバーワークになってしまった」と敗因を分析した。

 連戦を考慮して、セイフティーリードを奪ったらボールを保持し、体力の温存を図るという発想は、当時の高校サッカー界には皆無だった。

 大差のついた試合の連続になったのは、もちろん帝京の破壊力もさることながら、第60回大会は記念大会として参加校の枠が拡大されて「1県1校(東京は2校)」の48校が出場したことも影響したのだろう。

 それまでは32校によって争われた。

 第60回大会の予選では「青森と岩手」「宮城と福島」「群馬と栃木」「滋賀と京都」「岡山と鳥取」「愛媛と香川」「佐賀と熊本」といったように「2県で1校の出場枠を争う地域」があった(第62回大会から48校参加の大会に変更)。

 帝京と対戦した高松南、仙台向山、高崎は「48校出場」の恩恵もあり、高校サッカー選手権に初めて駒を進めた。このことも大差の開いたゲームとなった一因かもしれない。

 今大会の流経大柏は、上田西との準々決勝から東海大相模との準決勝まで1週間のインターバルがあり、体力的な心配はないと思っていた。

 しかし、初出場の東海大相模に大苦戦した。攻守ともに後手に回り、PKから奪った1点を死守しての辛勝に終わった。 ユース年代の取材に精通している記者に聞いたところ、「大津戦でベストゲームをやったため、そこからのリカバリーができていない」とのことだった。

 しかし、決勝戦では持ち前のハイプレスが見事に復活し、衰えることのない驚異的な運動量で好ゲームを演じたことは周知の通り。実に見ごたえのある好試合だった。

(六川亨/サッカージャーナリスト)

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