吉村維新の“石丸ラブ”が止まらない…新党に「連携参加の可能性を前向きに」と秋波送った皮算用
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月17日 16時3分
石丸伸二氏(左)と吉村洋文代表(C)日刊ゲンダイ
ただの話題づくりか、党勢拡大が狙いか。前安芸高田市長の石丸伸二氏が今夏の都議選に向けて新たに立ち上げた地域政党「再生の道」に、「日本維新の会」が飛びついた。全国政党化を目指す吉村代表は、石丸新党の設立会見が行われた15日、「新党との連携というか、参加の可能性を前向きに考える」と発言。いきなり秋波を送ったが、維新にメリットがあるのかは疑問だ。
■「面白いし期待している」と新党設立に大ハシャギ
石丸氏は都議選(定数127)で、全42選挙区での候補者擁立を目指す。党としての政策はなく、候補者が各選挙区で「主張すべきものを主張する」というスタイル。政党の方針である綱領ですら、任期を最長2期8年に限定する「多選の制限」のみで、このユルい“掟”を守る限り他党との掛け持ちも認められる。
石丸氏は「生まれ変わるぐらいの変化、これが今の日本には必要だと考えた」と会見で強調したが、自民党だろうが共産党だろうが、都議のイスにしがみつかなければ二重党籍を認めるとは奇をてらった感が否めない。現職都議や首長・副首長の経験者が公募に申し込んだ場合、選考を経ずに候補者にするのも「タイパ」重視の“現代っ子”らしい。
こうした動きに吉村代表は素早く反応。「面白いし期待している」と新党設立を歓迎し、党の掛け持ちについて「『腹をくくってやる』という議員がいれば賛成したい」と前のめりだった。
分かりやすいラブコールだが、維新が石丸新党に“抱きつく”メリットがあるのかどうか。一時は「大躍進」ともてはやされた維新も、今では全国政党化どころか関西のローカル政党に逆戻り。石丸氏の“威”を借りて党勢拡大に弾みをつけたいところだが、そもそも維新の現職都議は大田区選出の松田龍典氏だけだ。
身内の心境は複雑
維新元幹部が言う。
「今度の都議選で『東京維新の会』の公認候補に決まっているのは現職を含め今のところ4人。候補者を公募していますが、増える見込みは薄い。たった4人が石丸新党へ参加したとて何の意味があるのか。『石丸』の看板で戦ったとしても、維新の党勢拡大に資するとは思えません。国民民主党の玉木代表(役職停止中)は石丸新党との連携について『もう少し全体像が見えてくるまで見定めたいのが率直な思い』と慎重に値踏みしています。吉村さんを悪く言うつもりはないけれども、正直、今の段階では玉木さんの態度の方が正しいと思う」
代表の先走りに身内も複雑な思いに駆られているようだが、当の吉村代表は「石丸ラブ」が止まらない。インターネット番組「ReHacQ」(リハック)で石丸氏と対談した際、「石丸さんに都知事になって欲しい」(昨年8月31日配信)、「石丸さんに東京を動かして欲しい」(同12月23日配信)と再三にわたってエールを送っているほどだ。
ただ、連携を前に維新が取るべき“ケジメ”もある。
「東京維新は昨年の都知事選で独自候補の擁立を見送り、静観を決めました。出馬した石丸さんを水面下で応援したメンバーに、当時の幹部が『他の候補の支援は絶対にするな』とクギを刺したことも。分裂含みのひと悶着があったのに、石丸新党との連携がすんなりいくでしょうか。最終的には石丸さんと吉村さんの間で話を詰めるのでしょうが……」(維新関係者)
維新内部で再びひと波乱あるかもしれない。
◇ ◇ ◇
石丸伸二氏が党首を務める地域政党「再生の道」の設立を発表。今夏の都議選の候補者を公募し、全42選挙区で擁立を目指す。自身は出馬しないとか。果たしてマトモな候補が集まるだろうか? 関連記事【もっと読む】で詳しく報じてます。
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