「ユーグレナ」が上場以降初の希望退職者募集 …“原点回帰”で赤字体質を克服できるか(小林佳樹)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月18日 9時26分
出雲充社長(C)日刊ゲンダイ
【経済ニュースの核心】
藻類の一種であるミドリムシ(学名:ユーグレナ)の培養技術などで知られるユーグレナは8日、希望退職者50人程度を募集すると発表。約240人の正社員を対象に2月に募集し、退職日は3月末。特別退職金を支給するほか再就職を支援する。約2億5000万円を見込む費用は特別損失として計上する予定だ。同社はプライム市場に上場しているが、希望退職を募集するのは2012年の上場以降、今回が初めてとなる。
希望退職を募集するのは、「原点回帰などを掲げた中期経営方針を一段と加速し、黒字体質を定着させるには組織や事業構造の抜本改革が必要と判断した」(同社)ためだ。同社の連結営業損益は6期連続で赤字が続いていたが、2024年1~9月期連結決算で営業損益が1億6000万円の黒字に転換した。しかし、純損益はマイナス10億4800万円と依然として赤字が続いている。
同社は2005年に現社長の出雲充氏が仲間2人と設立したのが始まり。出雲氏は2002年に東大農学部を卒業し、東京三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に就職するが、ミドリムシへの夢を捨てきれず入行1年で銀行を退職。ミドリムシの培養に専念した。
■窮地を救った堀江貴文氏
だが、失敗を繰り返して1年で貯金は底を突いた。その窮地を救ったのが、当時、ライブドア社長だった堀江貴文氏だった。「面白い! 俺が投資するので会社にしろ」(堀江氏)と背中を押され、オフィスは六本木ヒルズにあったライブドア本社の一角を間借りしたスタートだった。
しかし、営業は思うように進まず、再び資金難に。2度目の窮地を救ったのは伊藤忠商事だった。2007年末、雑誌で同社を知った伊藤忠商事の担当者からコンタクトがあり、翌2008年5月に提携。その後は栄養食品やバイオ燃料生産用に受注が急増した。
順調に成長したように見える同社だが、「2018年9月期以降は実証プラント建設費用などに多額の資金が投じられるなど先行投資により毎期、損失計上が続き、繰越損失を抱えている状態」(大手信用情報機関幹部)という。
出雲氏がミドリムシに没頭したのは、学生時代にグラミン銀行のインターンとしてバングラデシュに赴いた際、タンパク質やミネラルの不足により深刻な栄養失調に陥った人々を目の当たりにしたこと。「栄養のある作物を届けたい」との思いがミドリムシ培養の原点だ。はたして希望退職募集で原点回帰は図れるか……。
(小林佳樹/金融ジャーナリスト)
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