「私はヘタとはゴルフしません」…周防郁雄氏の引退報道で“芸能界のドン”からのキツいひと言を思い出した(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月19日 9時26分
周防氏(中央)と藤原紀香、スケートの清水宏保選手(1998年当時)/(C)日刊ゲンダイ
【週刊誌からみた「ニッポンの後退」】
芸能界の“ドン”といわれた芸能プロ「バーニング」の周防郁雄(84)が表舞台から消えた。
週刊文春(1月16日号)によれば、昨年10月ごろ、食事中にろれつが回らなくなり救急車で運ばれたという。軽い脳梗塞だったようだが、それを潮時に代表取締役社長が長男の彰悟(49)に代わり、相談役に退いたというのである。1960年代まで“王国”といわれたナべプロが凋落し、その後に帝国を築いた喜多川姉弟のジャニーズも崩壊した。周防も去れば、芸能界の「戦後」がようやく終焉することになる。
衆議院議員・浜田幸一の運転手だった周防が「バーニング」を立ち上げたのが70年代初め。当時、ナベプロから有力なタレントを抱えるマネジャーたちが離れていった。その人間たちに資金提供したりして楽曲の権利などを手に入れ、勢力を拡大していったといわれる。
ジャニーズのスーパーアイドルだった郷ひろみを引き抜いてくる“掟破り”も周防の得意技だった。
だが、周防の豊富な資金の出どころは不明で、バックには暴力団の影があるという噂が常につきまとってきた。メディアに一切出ないことも彼のカリスマ性を高めていった。
芸能プロの8割が彼の傘下だともいわれ、レコード大賞や紅白には「周防枠」があるといわれた。文春(2016年11月3日号)は、前年にレコ大グランプリをとったEXILEの弟分「三代目」が歌った「Unfair World」は、1億円で「芸能界のドン」から賞を買ったものだったと報じた。同誌は、バーニングからEXILEのリーダーHIROに対しての「請求書」を入手していた。
23年の紅白では「韓国勢が多すぎる」と周防が怒り、国内の演歌歌手を増やしたといわれる。
しかし、カネと力で芸能界に“君臨”してきたドンにも、ここ数年陰りが見えてきた。ジャニー喜多川や松本人志、中居正広の性加害スキャンダルが続発し、旧態然とした芸能界への批判も高まってきた。周防時代の終焉は、芸能界が延々引きずってきたいくつもの「闇」を一掃する好機にしなければならない。
私が周防に初めて会ったのはFRIDAY編集長の時だから、1990年代初めだったと記憶している。当時、ジャニーズのスキャンダルを掲載すると、なぜか「バーニング」の“番頭”から猛烈な抗議があり、編集現場は対応にへきえきしていた。私は周防に連絡を入れ、彼の行きつけの赤坂の小料理屋で会った。私からの申し入れを聞き、わかったと言った後は、終始穏やかにとりとめのない話をした。酒は飲まないが大変なグルメで、それ以後も何度か会い、路地にある絶品の中華屋などに連れて行ってもらった。東麻布の「富麗華」も彼に連れて行ってもらったと記憶しているのだが。
新人だった内田有紀に会わせてくれた。藤あや子が週刊現代のパーティーに来てくれた。そんなある夜、私は彼に後継者について聞いてみた。周防は、「芸能プロなんて一代限りのもの。子どもにはやらせません」と言った。“老い”には勝てなかったのだろうか。
私には“裏の顔”を見せなかったが、一度だけ、きっぱり言われたことがあった。私がゴルフを始めたばかりの頃だった。周防は、芸能界では有名なコンペを主催するほどの腕である。おずおずと、一度ゴルフをやらないかと聞いてみた。彼は、
「私はヘタな人とはゴルフをしません」
今年は昭和100年。昭和のにおいを色濃くまとった男がまた一人去っていくのか。(文中敬称略)
(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
《資料入手》「フジ社長は“女性アナ接待”の常習者」中居正広9000万円トラブルを引き起こしたフジテレビの“上納文化”
文春オンライン / 2025年1月16日 16時0分
-
芸能界激震!バーニング[2代目就任]で起きた“金銭トラブル”の真相
日刊SPA! / 2025年1月6日 15時55分
-
「紀州のドン・ファン事件」裁判で須藤早貴被告に一審無罪 検察は控訴しても勝てないこれだけの理由(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月29日 9時26分
-
旧ジャニ「解散のない"奇跡の20年間"」の凄まじさ なぜ「ジャニーズ事務所」は特別だったのか
東洋経済オンライン / 2024年12月27日 9時0分
-
悠仁さまの進学先も、紀州のドン・ファン裁判も…メディアの敗北は兵庫県知事選の後も続く(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月22日 9時26分
ランキング
-
1いとうまい子「10年ぐらい干されてた」 デビュー5年目で事務所退所「地獄に落ちてた」
スポニチアネックス / 2025年1月19日 10時21分
-
2道重さゆみ 芸能界引退を発表 今夏ツアー最後に 活動制限の中「続けていくのは難しい、限界だな、と…」
スポニチアネックス / 2025年1月19日 17時1分
-
3「私はヘタとはゴルフしません」…周防郁雄氏の引退報道で“芸能界のドン”からのキツいひと言を思い出した(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月19日 9時26分
-
4「脱げる?」に「いいですよ」と即答 “死体役”ばかりの時期を経て「愛人キャラ」でブレイクした橋本マナミ(40)の妖艶すぎる人生
文春オンライン / 2025年1月19日 7時0分
-
5NHK大河『べらぼう』ナレーション役の超人気女優が「適任すぎる」ワケ。過去の大河との“違い”にもニヤリ
女子SPA! / 2025年1月19日 8時46分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください