「株主優待」企業が再び増加に転じた「2つの理由」…そして、さらに見逃せない“隠れた魅力”とは【ベテラン証券マンが教える株のカラクリ】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月19日 9時26分
株主優待実施企業が再び増加中(C)日刊ゲンダイ
【ベテラン証券マンが教える株のカラクリ】#142
個人投資家に人気が高い株主優待だが、その実施企業は2019年の1532社をピークに減少、株主優待を廃止する企業が目立っていた。
理由は、少額投資の個人が優遇されるという不平等と機関投資家からの圧力、そして管理コストの負担だった。
ところが最近、再び増加傾向にある。2年連続で純増に転じていて、24年9月までの1年間では、株主優待実施企業は1494社まで回復しているのだ。警備大手のセコムは23年3月期にいったん優待制度を廃止したが、25年3月期から再開すると発表している。
背景に何があるのか。理由は2つ考えられる。
①新NISAが24年1月にスタートし、個人投資家を意識した施策を強化する企業が増えた。
②株式の持ち合い解消が進み、企業は新たな株主を確保するために個人投資家をターゲットとした。
そして、さらに見逃せないのが株価の下支え効果である。興味深いデータを紹介したい。株価が大暴落した昨年8月の第1~3営業日で、株主優待実施企業の株価は市場平均を2.6%上回った。ちなみに配当を実施する企業は1.1%、自社株買いでは0.3%にとどまった。つまり、優待を実施している企業の株を値下がりしたところで狙っている個人投資家が多数存在しているのだ。それもあって株価対策として、企業の株主優待も復活傾向にあるのだろう。
その裏返しになるが、優待を廃止すると株価は急落する傾向が強い。調査機関の調べによれば、優待廃止を発表した企業の株価は、発表後10日間のTOPIXと比べて5~6%ほど低い水準で推移している。24年12月、回転寿司チェーンのくら寿司が株主優待の廃止を発表すると、株価は翌日に15.8%下げ、1週間では21.6%も下落したものである。
暴落時でも“強い”優待企業株──。トランプ政権の始動や金利上昇で、しばらく乱高下が予想される局面だけに、一段と注目されそうだ。(丸)
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