1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

平均寿命との差が縮小…健康寿命の延びと経済効果の気になる関係

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月21日 9時26分

平均寿命との差が縮小…健康寿命の延びと経済効果の気になる関係

健康な期間が長くなれば…(C)日刊ゲンダイ

 厚生労働省の研究班が3年ごとに調査する「健康寿命」が昨年12月24日公表された(2022年推定値)。男性は72.57歳、女性は75.45歳、男性は19年の前回調査(72.68歳)から0.11歳短く、16年の前々回調査から0.43歳延びた。女性は前回調査より0.07歳延びた。

 健康寿命は「日常生活に制限がない期間」を指す。一方、生まれてから死ぬまでの期間を指す平均寿命も、男性81.05歳(22年)、81.41歳(19年)、80.98歳(16年)と延びている。この平均寿命と健康寿命の関係で注目されるのが両者の差だ。

 16年の平均寿命と健康寿命の差は、8.84年、19年は8.73年、そして22年には8.48年まで縮小し、健康寿命の延びが平均寿命の延びを上回っていることが示されている。人口減少対策総合研究所の理事長で、内閣官房をはじめとする政府の有識者会議のメンバー、河合雅司氏がこう述べる。

「健康寿命が延びることは、健康で働き得る高齢者が増えることにつながる。政府は人口減少、人手不足を補うため高齢者になるべく長く働いてもらいたい。そのため健康寿命の延伸を大前提に国民の健康づくり運動を積極的に進めています」

 厚生労働省は昨年から「第5次国民健康づくり運動」「健康日本21」をスタートさせている。平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加を目指す健康づくり運動の推進が狙いだ。

「平均寿命が長いだけでは日常生活に支障が出る期間も長くなるが、健康寿命が延び、国民の健康度が高まることは高齢者の社会参加を増やし働く人を増加させる。就業人口が増加し労働者個人の生産性が向上することは、GNPを押し上げる大きな経済効果につながってくる」(前出の河合氏)

■健康寿命が74歳まで延伸すると…

 経済産業省が昨年3月に発表した「健康経営の推進について」によると、20年から50年までの総人口は20%減少し、特に生産年齢人口は30%以上減少、高齢化の進展で約40%が高齢者、約10%が要介護者となり、経済維持が困難になると指摘している。一方、健康寿命が74歳まで延伸した場合、生産年齢人口の割合(生産年齢を74歳まで働けるとした場合)は66%に拡大されると述べている。

 健康な期間が長くなり、働く時間も長くなれば消費を動かし社会を支える側として経済効果は大きくなる。一方、健康寿命が短いと働ける時間は短くなり、病気・介護に必要な期間は延び出費は増える。健康な状態でより長く過ごすことは医療費の増加を抑制する。健康寿命の延伸は経済を成長させるだけでなく、中長期的な破綻が懸念される社会保障制度を持続可能にすることにつながるのだ。

(ジャーナリスト・木野活明)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください