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足のむくみは要注意な症状…少しの変化も見逃さず速やかに対処【老親・家族 在宅での看取り方】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月22日 9時26分

足のむくみは要注意な症状…少しの変化も見逃さず速やかに対処【老親・家族 在宅での看取り方】

むくみの原因はさまざま

【老親・家族 在宅での看取り方】#127

 自宅で療養中の患者さんから、足のむくみについて相談をうけることがよくあります。

 むくみの原因はさまざまです。例えば、「座りっぱなしの時間の多さ」「体の冷え」「塩分の多い食生活」「薬の飲み合わせ」といった、ご本人の日ごろの食習慣や生活スタイルの影響でむくみが起こっていることがあります。

 高齢の患者さんの場合は、心不全や腎不全、甲状腺機能低下症などの持病が背景にある場合が少なくありません。加齢による心肺機能や筋力の低下といった体の衰えによる血行不良が原因という場合も多いでしょう。

 仮に患者さんやご家族から「むくみがつらい」との訴えがあった場合は、お薬や点滴の調整、弾性ストッキングの使用、クッションを使って足を高いところに上げてもらうといった暮らしの知恵など、具体的なむくみ対策を提案しています。

 患者さんの中には、少しぐらいのむくみなら我慢してやり過ごそうとする方もいます。でも仮にこのむくみを放置しておくと、そのうち痛みが出てきたり、腫れたりする場合もあり注意が必要です。

 さらにひどくなると皮膚の硬化、赤みや色素沈着が起こります。血液や体液の流れがふさがれ滞り、その部分の皮膚に炎症が起こる「うっ滞性皮膚炎」が起こることも。

 うっ滞性皮膚炎が起こると最終的には血管が耐えられなくなり、毛細血管が切れて血液が漏出し、内出血が起こります。そして内出血した血液中の赤血球からヘモグロビンが放出され、最終的には鉄を含む色素の一種であるヘモジデリンを生成。これが皮膚に沈着することで、かゆみや湿疹、色素沈着が起こるのですが、この状態を放っておくと、傷の治りが遅くなるだけでなく、最悪の場合は感染症を引き起こすことがあります。すると、傷が治らず皮膚に穴があく「皮膚潰瘍」に至るリスクも高くなります。

 もし高齢の患者さんが感染症になったとしたら、連日抗生剤の投与が必要になり、足のむくみはさらに加速することになります。しばらくの間はベッドでの療養を余儀なくされるため、筋力低下によるフレイルの恐れも出てきます。場合によっては歩くことが難しくなるかもしれません。ですからむくみをあなどってはいけないのです。

 当院では皮膚科医も訪問診療を行っています。皮膚科医が訪問できない時も、訪問宅から常駐する皮膚科医へ画像を送り、処方や対処法を仰ぐようにしています。とにかく少しの変化も見逃さず、早期の対処を行えるように心がけているのです。

 たとえ軽いむくみだとしても弾性包帯を巻いたり、保湿することで症状を軽くすることができます。患者さんやご家族には常々「我慢せずスタッフや医師に相談してください」と伝えています。

(下山祐人/あけぼの診療所院長)

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