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大動脈弁狭窄症は聴診器をあてるとすごい雑音がする【心臓外科医が教える患者のための基礎知識】#6

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月22日 9時26分

大動脈弁狭窄症は聴診器をあてるとすごい雑音がする【心臓外科医が教える患者のための基礎知識】#6

聴診器をあたればすぐわかる

【心臓外科医が教える患者のための基礎知識】#6

 心臓の弁は薄く透明でひらひらしています。これが1日に10万回、開いたり閉じたりするのです。生きた細胞が表面にぱらぱらと配置され、それらがメンテナンスしているようです。

 心臓の出口にある大動脈弁と呼ばれる弁では、石のように硬い塊がこびりついてこのひらひらの部分がカチカチになってくることがあります。原因は不明です。開きにくくなって、血液が左心室から全身に押し出されるのを邪魔するようになります。

 この開きにくい状態は「狭くなっている状態」でもあるので「狭窄症」と呼んでいます。とにかく原因は不明なのです。

 こういうと「原因は動脈硬化に決まってるじゃない」と食ってかかるアホな医者がいるかもしれません。でもそれは「センセイ、熱があるんです。今朝測ったら体温が39度もあるんです。原因は何ですか」と、訴える患者に「それは発熱です」と言っているのと同じです。

 動脈硬化も現状を表現しているだけの病名です。病気の話ではよくこういった不毛な病名で楽しむヒマな医者がいます。皆さんも付き合わない方がいいと思います。

 なぜ大動脈弁に石灰化が起こるのか? 起こる人と起こらない人の違いは何か? 誰にもわかりません。大動脈弁以外の全身の動脈に石灰化が起こっている人もいれば、なぜか大動脈にだけ、ピンポイントに石灰化が起こっている人もいます。

 出口が狭くなると、心臓は困ってしまいます。心臓はマヨネーズを絞り出すように、一生懸命がんばらなければならなくなります。ある日突然、キレてしまって心室細動(心室が不規則にけいれんする状態)が起こってしまうかも知れません。

 大動脈弁が狭くなって血液の通過障害があればスゴイ雑音がします。これは聴診器をあてればすぐわかります。しかし、すべての医者が聴診器を使えるとは限りません。医者になるのに実技試験はないのです。心臓の超音波検査を受ければ狭窄症があるかどうか、そしてその重症の度合いがすぐにわかります。ちなみに超音波検査ができる検査技師さんはみな優秀で引く手あまたです。病院で働く検査技師さんがアルバイトで休みの日に別の病院で仕事をすることはどこの病院も固く禁止していますが、結構みんなやっています。そのせいで彼女たちの実力が高められているのだと私は分析します。毎週、他流試合をしているわけですから。反対に病院は何を怖がっているのでしょうか?

 大動脈弁の狭窄の度合いが重症だと人工弁に取り換える手術を行います。外科手術で胸を開いて心臓を停止して人工弁を縫い付ける方法もありますが、ご年配の方にはカテーテルで人工弁を植え込むTAVI(タビ)という方法が行われるようになっています。

(南渕明宏/昭和大教授)

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