「和製べン・ホーガン」陳清波さん死去…元マネジャーが語るダウンブローの極意
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月24日 9時26分
陳清波さん(C)日刊ゲンダイ
レジェンドが逝った。
「和製べン・ホーガン」と称された陳清波プロが1月14日に死去。享年93歳だった。
台湾の名門・淡水GCでゴルフを覚え、1951年に初来日。54年から川奈ホテルGCで腕を磨き、その際、プロ入り前の杉本英世(国内14勝)を指導した。後に東京ゴルフ倶楽部(埼玉)の所属となり、ダウンブロー打法から繰り出すドローボールで国内ツアーは日本オープンを含む12勝、マスターズは63年から6年連続出場など一時代を築いた名手だ。
かつて陳プロのマネジャーを務めたことがある菅野徳雄氏(ゴルフジャーナリスト)が当時を振り返る。
「フリーのゴルフライターになった時、親しかった陳さんのマネジャーを2年くらいやった。ミズノ社とのクラブ契約の席にも立ち会いました。極東サーキット(後のアジアサーキット)にも同行し、いろんな話を聞いた。当時の日本人は身長が低く、手足も短いのでスライス系の弾道が全盛。後にトッププロになる杉本英世も師匠に教わった通りにスライス系の球を打っていたが、陳さんのドローボールを見て、真似るようになった。陳さんは温厚な性格でしたが、当時のプロとしては珍しく『聞けば何でも教えてくれた』と杉本は語っていた。その杉本は、『国内にフック打ちはいるが、落ち際にやや左に曲がるきれいなドローボールを打っているのは陳さんだけ』と言った。あの美しいダウンブローのスイングは私の目にも焼きついています」
菅野氏が続ける。
「東京GCの所属になった当時『4畳半のアパートに暖房がなく、冬はつらかった。早朝に起きて、体を温めるために練習するしかなかった』と言ってました。代名詞のダウンブローの取材をした時には、『打ち込む』という表現を嫌った。『非力な女性でもダウンブローに打てる。ヘッドを強く打ち込むことではない。ボールの中心線(赤道)より少し下に向かって、ヘッドの重さに任せてクラブを振り下ろすとボール左側の芝が削り取られる。その時、膝でリードして振り下ろしてくることが肝心』だと。天国でも新たな弟子に教えているんじゃないですか」
合掌。
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