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誰かと食事をすると食べる量が増え、アイデア力が上がる【科学が証明!ストレス解消法】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月24日 9時26分

誰かと食事をすると食べる量が増え、アイデア力が上がる【科学が証明!ストレス解消法】

食事は1人で食べるより大勢で

【科学が証明!ストレス解消法】#200

 食事は、私たちが考えている以上に、自分や周囲に影響を与える行動です。例えば、誰かと食事するか、1人で食事するかで食べる量がどのように変わるかを研究した報告があります。

 これは、イギリスとオーストラリアの研究者たちの共同研究で120人を対象に行い、①友人など馴染みがある人と食べる②初対面の人と食べる③1人で食べる──という3つのパターンに分け、どのような差異があるかを調べました。

 すると、「初対面の人と」が最も食べる量が多く、「1人」が最も少ないとの結果でした。この研究から、誰かと食事をする“共食”のほうが、食べる量が増えてしまうことが示唆されたのです。

 1人で食べるよりも大勢で食べるほうが会話がはずんで食事量が増えるのではないかと考えがちですが、この研究によると、初対面の人と食べても食事量が増えることが分かっています。この現象は、進化心理学の考え方で説明できます。進化心理学とは、狩りや農耕だけで食事・生活を賄っていた時代から、人間の内面は変わっていないとするものです。

 大昔は、食料が貴重で日々の食事が生命維持に直結することも珍しくありませんでした。

 そのため、進化心理学的には人とテーブルを囲み、食べ物を一緒に食べると「競争」が発生すると考えます。無意識に「相手にいっぱい食べられてしまったら自分の分がなくなる」という不安が生じることで、初対面の人との食事であっても食事量が増えると推測されているのです。

 また、秋田大学の藤原は、共食が共同問題解決に与える影響について研究(2023年)を行っています。

 実験では、84人の大学生を対象に、2人組×42グループをつくり、そのグループを一緒に食事をとる共食チームと、一緒に食事をとらない非共食チームに分けて実施しました。その上で、共同問題解決課題として「スーパーの売り上げを2倍にするにはどうすればいいか」について話し合ってもらい、共食チームへはお菓子と飲み物を、非共食チームには何も提供せずに話し合ってもらいました。そして、各グループのアイデアを、大学生男女4人が「新しさ」「面白さ」「実現可能性」など5件法で独自に評価したというのです。

 その結果、共食チームは「応答」の会話が増え、評価軸の「新しさ」と「面白さ」の向上効果が見られたといいます。一方、非共食チームはアイデアの提示が多くても、その中でどれを最終案とするか選ぶ段階で、創造性の高いアイデアが淘汰される可能性があったといいます。

 共食チームは、食事をすることで相づちをしながら相手の意見を聞く、会話の継続を促すことが増えるなど、アイデアを深掘りし、より創造的な案を生み出していた可能性があると、研究では報告されています。

 食事というのは、予期せぬところで私たちの人間関係や仕事にも影響を及ぼします。何を食べるかだけではなく、誰と食べるか、どんなときに食べるかについても“偏らないほうがいい”のです。

(堀田秀吾/明治大学教授、言語学者)

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