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テニスの新時代を握るパワー 破損したネットが物語る肉体改造とサプリメント【スポーツ時々放談】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月25日 9時26分

テニスの新時代を握るパワー 破損したネットが物語る肉体改造とサプリメント【スポーツ時々放談】

全豪オープンで世界ランク1位・シナーのサーブで壊れたネットを修復するスタッフ(C)ロイター/USA TODAY Sports

【スポーツ時々放談】

 中国語で「納豆」と書いてナダルと読む。「加油納豆」は納豆を炒めるではなく「頑張れナダル」ーーフェデラーに続き人気のナダルも引退し、テニス界は新時代に入った。全豪オープンでの変化をチェックした。

 3強最後の砦、ジョコビッチは準々決勝で新2強の一角・アルカラス(21)を退けたが、20代前半の選手が8強に4人、16強に10人も残った。3強を脅かしていた中堅が振るわず、チチパスはミケルセン(20)、ルブレフはフォンセカ(18)に初戦敗退、メドベージェフはティエン(19)、ルードはメンシク(19)に2回戦で敗れている。

 年末に20歳以下トップ8人による「ネクストジェン(次世代)・ファイナル」が行われる。シナーもアルカラスも通過した登竜門で、昨年の決勝ではフォンセカがティエンを下した。2-4、4-3、4-0、4-2……4ゲーム先取の5セットマッチで行われているのだ。

 特殊とはいえ、いまツアーが採用している電子ラインコール、コーチングもここで“実験”されたもの。主審が「ご静粛に」と偉そうに注意したのは昔の話で、もはやプレー中の客席移動もOKーー時代は急速に変わっている。

 1985年、17歳のベッカーが破壊的サーブでウィンブルドンを制した時、マッケンローはこんなことを言った。

「ウッドラケットで育った我々に、あのサーブは打てない」

 全豪4回戦、シナーのサーブがネットバンドを叩き、根元のネジが折れて試合が中断した。時速200キロ弱だったからシナーの一打ではなく、連打された挙げ句のラストパンチだろう。錦織圭は最近の選手について「パワーが違う」と話した。いつの時代もずぬけたパワー選手はいたはずで、ベッカーの背景は強化ラケットと分かりやすかった。いまは装備や戦術に沿った専門チームによる体力強化など複雑で、サプリメントも重要な役割を担っている。

 昨年、シナーにドーピング問題が浮上し、女子トップのシフィオンテクも軽微な処分を受けた。検査が頻繁かつ厳格な時代に、トップがあえてドーピングに手を出すだろうか。禁止薬物とサプリメントの境界線ギリギリでの強化が進み、パワーが創出していると考える。

 ジョコビッチの抵抗、錦織圭の復活はこうした激流との戦い──日本も無縁ではない。最近のジャパンオープンは、大物が揃う北京の裏で、次世代の布石舞台になっている。テニスは常に時代の先端を行く。2強が消えても話題は尽きない。

(武田薫/スポーツライター)

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