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コレステロールは「善玉」と「悪玉」のバランスが大事【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月25日 9時26分

コレステロールは「善玉」と「悪玉」のバランスが大事【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

スタチン系薬は副作用も…

【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

 高齢者に限ったことではありませんが、血液検査でコレステロールの値が高くなると、いろいろ心配になりますよね。食事に気をつかってみたり、運動をしてみたりとさまざまな工夫をされた方もいらっしゃると思います。しかし、そういった工夫をしてもコレステロールの値が高い場合にクスリが必要になります。

 じつは血液中のコレステロールに関しては、食べ物として摂取するコレステロールはそれほど大きくは影響せず、体の中で作られるものが大部分を占めています。コレステロールにはHDLコレステロールとLDLコレステロールがあります。

 HDLとは「高比重リポタンパク」のことで、HDLコレステロールは全身のコレステロールを回収する性質があるので善玉コレステロールといわれています。一方のLDLは「低比重リポタンパク」のことで、LDLコレステロールは肝臓で作られたコレステロールを全身に運搬し、動脈硬化の原因となることから悪玉コレステロールといわれています。

 コレステロールの値が高いときに使われるクスリは、HMG-CoA還元酵素阻害薬といわれるもので、成分名の語尾に「スタチン」とつくことからスタチン系薬とも呼ばれています。これでピンときた方は、おそらくスタチン系薬をすでに使っているのでしょう。

 このクスリは、肝臓でコレステロールが作られる際の酵素であるHMG-CoA還元酵素の働きを抑制することでコレステロールが作られないようにします。また、血液中のLDLコレステロールが肝臓に取り込まれるのを促進させることで、LDLコレステロールの値を下げる効果があります。動脈硬化で起こる狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの予防にはLDLコレステロールを下げることが重要なので、スタチン系薬はとても大事なクスリです。

 スタチン系薬には「横紋筋融解症」という特徴的な副作用があります。その名の通り筋肉が溶けてしまう副作用で、初期症状として筋肉痛や脱力、尿の色が赤褐色になるなどがあります。ただ、発生頻度はかなり低いのでそこまで心配はいりません。スタチン系薬を服用し始めた頃に発生しやすいため、特にその時期に運動もしていないのにそういった症状が出た場合には、すぐに医師または薬剤師に相談しましょう。

 さて、ここまでの話の流れだと「LDLコレステロールが低ければいい」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、厳密にいうとそれは違います。HDLコレステロールとLDLコレステロールのバランスが大事なのです。生活習慣に気をつけることが大前提ですが、クスリが必要な場合も出てくるでしょう。ご自身の血管を守ってくれる大事なクスリなので、うまく付き合っていきましょう。

(東敬一朗/石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師)

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