2024年の倒産企業は1万件超で前年比15%増…「これからが本番」の業界は?
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月28日 9時26分
賃上げそのものは歓迎だが…(C)日刊ゲンダイ
【仕事力がアップする経済ノート】
2024年の倒産企業は1万6件(前年比15.1%増)、また休廃業・解散企業は6万2695件(同25.9%増)だった(東京商工リサーチ調べ)。
倒産と休廃業企業を合わせると前年(5万8478件)から1万4223件増加(約24%増)、その結果約7万2700件が市場から退場したことになる。企業倒産が急増する背景を同社情報本部長・友田信男氏がこう説明する。
「いくつかの要素がつながっていますが、最も影響が大きかったのは物価高倒産(698件)。次いで人手不足関連倒産(289件)ですが、このうち求人難倒産は114件(前年58件)、人件費倒産が104件(同59件)といずれも前年の約2倍に急増しています」
産業別の倒産ではサービス業が最多(3329件)で、建設業(1924件)、卸売業(1214件)と続く。24年に特徴的な業種として「経営コンサルタント」の倒産が154件(前年比7.6%増)。介護事業者(172件、同40.9%増)、農業べンチャー企業(87件)、学習塾(53件)と過去最高を更新している。
「コンサルタント企業の倒産は、コロナ禍による政府の融資、補助金支援が落ち着き、参入が容易だった補助金対応のコンサルタントに依頼がなかったこと。またコンサルタントの見極めができてきたことが挙げられる。介護事業は人手不足とコストアップ。農業は物価高で農業市場が広がらず負債総額は192億円超と前年の約1.5倍に膨らんでいる。学習塾は少子化と実績重視が影響。これらの業界の倒産はこれからが本番になると思われます」(友田氏)
こうした倒産企業は、ほとんどが中小だ。倒産企業全体のうち中小企業の倒産件数(中小企業基本法に基づく)は1万4件と、構成比は99.9%を占める。24年春闘では多くの中小企業が、従業員の確保のため大手企業に倣い賃上げを実施した。
ところが背伸びをした賃上げが業績拡大につながらず、経営に跳ね返ってきているのが中小企業の倒産急増に結びついてきたのである。
1月22日から25年春闘が事実上スタートした。連合は大手企業を含め全体で5%以上、中小企業は大手との格差是正のため1%上乗せして6%以上の賃上げを目指すとしている。昨年、大手企業の5.58%(経団連調べ)に比べ3.62%(日本商工会議所調べ)にとどまった中小企業の賃上げの流れが注目される。
「25年は物価高、人手不足に加え、補助金減額でガソリン価格が大幅に上昇、さらに金利上昇も重なるなど中小企業を中心に昨年の倒産件数を上回る状況に入っていると考えます」(友田氏)
中小企業倒産の増加は、日本経済の活力を奪う。
(ジャーナリスト・木野活明)
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