健康長寿のために正しい呼吸法を身に付ける【長寿研究のいまを知る 実践編】#1
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月30日 9時26分
■腹式呼吸は免疫細胞の巡りを良くする
肺呼吸には胸式呼吸と腹式呼吸とがある。どちらが正しい、ということではなく、それぞれに役割がある。
胸式呼吸は、肺を左右前後に膨らませて酸素をしっかり取り込む。交感神経が活性化して、筋肉が動きやすくなるため、日中の活動や戦闘モード時に役立つ。
一方、腹式呼吸は副交感神経が優位になりリラックスでき、細動脈、毛細血管が緩んで血流が増えて末梢まで血液があふれホルモンや免疫細胞の巡りが良くなる。競争の連続である現代社会は一日中胸式呼吸となりやすく、腹式呼吸ができない人が増えている。そのため、正しい腹式呼吸を学ぶ必要がある。
「やみくもに酸素を吸っても細胞呼吸の効率は上がりません。酸素と結びついて血液を介して全身の細胞に運搬するのはヘモグロビンです。目的の細胞に着くと酸素を切り離して細胞内のミトコンドリアに渡します。このとき血液中の二酸化炭素濃度が低いと酸素の切り離しが行われにくくなり、酸素と結合した状態のヘモグロビンが漂うことになります(ボーア効果)。それは細胞呼吸の非効率につながります。つまり、むやみに酸素を多く取り込み、運搬するだけではダメなのです」
人間はひと呼吸で吸った空気に含まれる125倍となる二酸化炭素量を吐き出す。そのため呼吸回数が多いほど血液中の二酸化炭素が減少し、細胞呼吸が非効率になる。しかも、ミトコンドリアに渡されなかった酸素は活性酸素として細胞を障害する側に回ることもある。
「だからこそ、口呼吸の習慣は改める必要があるのです」
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