豊昇龍は当面「横綱(仮)」…安定感は高評価も突き抜けた成績なし、さらなる成長が不可欠
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月31日 9時26分
豊昇龍(C)共同通信社
しばらくは横綱に(仮)の文字がつきそうだ。
昨29日、相撲協会の臨時理事会が行われ、大関豊昇龍(25)の横綱昇進が正式に決まった。協会から伝達の使者を迎えた新横綱は、「横綱の名を汚さぬよう、気魄一閃の精神で精進します」と口上を述べたものの、今後を不安視する声がないわけではない。
横綱は土俵の最高位。品格も大事だが、何よりも実力が伴っていることが大前提。そこへいくと、豊昇龍の成績はいささか心もとない。
昨年は10勝、11勝、10勝、9勝、8勝、13勝。自身2度目の賜杯を手にした今場所も12勝3敗だった。大関昇進後は9場所で一度もカド番がない安定感が評価されたが、突き抜けた成績を残したわけではないのも確かだ。
「先場所から悪癖である強引な投げが鳴りを潜め、これまでに比べて安定感が出てきた。それでも今場所は平幕に3敗と、今後も軽率な相撲で取りこぼす恐れはある。盤石と呼ぶにはまだまだ足りませんよ」(角界OB)
八角理事長(元横綱北勝海)はこの日、「今以上に何倍も稽古をし、肉体・精神的にも成長を期待している」と話した。
地位が人を育てる、という言葉もあるが、横綱が伝達式の日にここまで成長を促されたケースはそうないだろう。
豊昇龍の叔父、朝青龍が22歳で横綱に昇進した時、当時の北の湖理事長(元横綱)は品格に言及こそすれ、実力については何も言わなかった。八角理事長も照ノ富士の昇進時は「精神力と今までの経験を糧にして(横綱の重圧を)乗り越えていってほしい」と話し、稀勢の里(二所ノ関親方)には「今まで通り、誠実に稽古をして土俵を務めてもらえばいい」と言った。それが今回は「これまでの何倍も稽古をし……」である。
協会にしても、今回の昇進は横綱空位を避ける面があることは百も承知。だからこそ、豊昇龍には成長してもらわないと困るということだろう。
ファンも当面は「横綱見習」だと思って、長い目で見てやった方がよさそうだ。
◇ ◇ ◇
横綱昇進と言えば、先場所限りで土俵を降りた貴景勝は、過去に2場所連続で「優勝に準ずる成績、優勝」しながら横綱になれなかった。いったいなぜか。貴乃花の元弟子だからなのか。日本相撲協会・八角理事長を直撃すると、意外な答えが返ってきた。
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