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トランプ大統領の就任演説と比べると…スケールの小さい石破首相の「楽しい日本」(中西文行)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月31日 9時26分

トランプ大統領の就任演説と比べると…スケールの小さい石破首相の「楽しい日本」(中西文行)

今の日本の、どこが「楽しい」のか(C)日刊ゲンダイ

【経済ニュースの核心】

 1月24日、石破茂総理は施政方針演説で、一人一人が自己実現できる「楽しい日本」を目指し、地方創生を核とする「令和の日本列島改造」などを表明した。

 トランプ米大統領の就任演説は「未来はわれわれのものであり、黄金時代は始まったばかりだ。米国に神のご加護を。ありがとう」。石破氏のほうがスケールは小さく、世界3位の経済大国といえども、やはり、島国かと考えてしまう。

「楽しい日本」の石破総理は、7月の参議院選挙を念頭に入れているのか、自民党の支持基盤たる地方に配慮。「楽しい日本を実現するための政策の核心は、『地方創生2.0』であり、これを『令和の日本列島改造』として強力に進める」と述べた。

 いまの日本は「楽しい」のか。厚生労働省が1月24日公表した人口動態統計(速報値)によると、24年1~11月に生まれた赤ちゃんの数は、前年同期比5.1%減の66万1577人だった。速報値には外国人を含む。出生数は通年で69万人程度となりそうという。

 国立社会保障・人口問題研究所が23年に公表した将来推計(中位推計)では24年の出生数は75万5000人で、70万人を割るのは38年と見込んでいた。24年に割り込んだとなれば14年も前倒し。「楽しい日本」とはいえない現実だろう。

■消費は外国人頼み

 日本の消費の頼みは訪日外国人。その中核は中国人。中国の春節に伴う休暇は1月28日から2月4日まで。中国は消費を促すため昨年と同様に連休期間を7日間から8日間に増やした。

 日本の観光庁は1月15日、24年通年の訪日観光客数が前年比47%増と発表した。中国からの観光客が日本で消費する消費総額は約1兆7335億円と第1位。

 1月に会った都心のマンションに住む友人は、昨年来の物価上昇を受けて大規模修繕積立金の不足が現実味を帯び、4月から管理費が値上がりするようだと言った。

 日銀は1月24日、政策金利を0.5%程度に引き上げる追加利上げを決定。利上げは24年7月の会合以来で、政策金利は08年10月以来、17年ぶりの高水準となった。今後、変動金利の住宅ローン返済など消費の低迷を警戒、春節の訪日中国人の上振れに期待したい。

(中西文行/「ロータス投資研究所」代表)

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