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皇室典範の改正勧告に抗議し国連女性委への拠出金除外…外務省が実行した“トランプ流”対抗措置の危うさ

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月31日 11時22分

皇室典範の改正勧告に抗議し国連女性委への拠出金除外…外務省が実行した“トランプ流”対抗措置の危うさ

ここまでの実力行使、トランプ米大統領に影響された?(岩屋毅外相)/(C)日刊ゲンダイ

 圧力をかけるやり方が、どことなくあの人を思い出させる……。

 政府は29日、国連女性差別撤廃委員会を日本の拠出金の対象から除外すると決め、国連に通達したことを明らかにした。同委員会が昨年10月、皇位継承を男系男子に限る皇室典範の改正を勧告したことに抗議する狙いだ。今年度に予定していた同委員会の訪日プログラムも取りやめるなど、異例の対抗措置に出た。

 この対応について、SNS上では「トランプ大統領的なやり方だ」との声が上がっている。トランプ米大統領は就任直後から、米国の拠出金が中国よりも多いことを理由にWHO(世界保健機関)からの脱退を表明。地球温暖化対策の国際的枠組みであるパリ協定からの離脱も表明した。あくまで自国の論理を優先し、国際機関との対立もいとわぬ姿勢が、今回の日本政府のやり方と重なるというわけだ。

 外務省はこの措置について、「皇位につく資格は基本的人権に含まれていない。皇室典範において皇位継承資格が男系男子に限定されていることは女性に対する差別に該当しない」と説明。「皇位継承のあり方は国家の基本に関わる事項であり、女性差別撤廃委員会が皇室典範を取り上げるのは適当ではない」と、内政干渉にあたるとの懸念を示した。

 外務省がここまでの“実力行使”に出るのは「近年では珍しい」(外務省関係者)という。元外務省国際情報局長の孫崎享氏は「皇室は国家の制度に関わること。内政不干渉という点では、本来国連が立ち入るべきではない」との立場を示したうえで、こう話す。

「政府の対応には疑問符が付きます。今回はあくまで『勧告』レベルの話。日本の伝統的な制度として皇室典範の正当性を説明していくなど、言論には言論で対抗すべきです」

 対立が深まる懸念もある。

「意見の異なる相手に制裁を科すのは、まさにトランプ大統領と同じやり方です。論理的説明を放棄し圧力で解決しようとするのは、政治的に正しい姿勢とは言えません。皇室の話なので、右派の国会議員から強い物言いがあったと推察します。しかし、外務省は『このような措置は国際的に歓迎されることではなく、言論で解決すべきだ』とストップをかけるべきでした」(孫崎享氏)

「トランプ流」の模倣を国際社会はどう見るのか。

  ◇  ◇  ◇

 トランプ政権もう不協和音?イーロン・マスク氏「ソフトバンクはカネがない」と78兆円AI投資に疑義の本音とは? 関連記事【もっと読む】で詳しく報じている。

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