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水野晴郎さんは打ち合わせの段階から、映画を語ることの“喜び”や“うれしさ”に満ちあふれていた(本多正識/漫才作家)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年2月1日 9時26分

水野晴郎さんは打ち合わせの段階から、映画を語ることの“喜び”や“うれしさ”に満ちあふれていた(本多正識/漫才作家)

水野晴郎(C)日刊ゲンダイ

【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#228

 水野晴郎

  ◇  ◇  ◇

「いやぁ~映画って本当にいいもんですね~」の決めゼリフでおなじみだった、映画評論家の水野晴郎さんに初めてお会いしたのは30年近くも前のことでしょうか。「水曜ロードショー(後に金曜ロードショーに移動)」の姿そのままに、満面に笑みをたたえてテレビ局の楽屋へいらっしゃいました。

 打ち合わせの段階から「映画のことならなんでも聞いてください。こうして映画のことをしゃべらせていただけるなんて幸せですね」と楽しそうでした。ここまで“喜び”“うれしさ”に満ちあふれている方は初めてだったのでよく覚えています。

 映画の宣伝マン時代には「原題をそのまま訳してもなかなかピンとこないんですね。だからいろいろ考えましたね」。で、生まれた邦題が「史上最大の作戦」「夕陽のガンマン」「追想」など今なお名作として残っているものばかり。第2次世界大戦の連合国軍のノルマンディー上陸作戦を描いた超大作「ザ・ロンゲスト・デイ(原題)」は、「日本人には思い入れがないからストレートに訳してもインパクトがないな~と思って『史上最大の作戦』にしたんです」。007シリーズでも「007危機一髪」をもっと印象付けたいなと思って「日本語としてはおかしいんだけど『危機一“発”』に変えてみたんですね」とうれしそうに話しておられました。

「水野さんにとって映画はどういう存在ですか?」と伺うと「私の人生のすべてでしょうね。ウソをついちゃいけないんだよ。人に迷惑をかけちゃいけないんだよ。女性を愛する、人を愛するっていうのはこういうことなんだ。生き方のすべてを映画から教わりました」。

 男はこうしなきゃいけないんだ。こういう考え方もあると「○○主演の××という映画でこういうシーンがあるんです……」とすべて映画のシーンをたとえにして話され、よどみなく言葉が出てきて話が止まらない。セリフを一言一句インプットされている姿に、プロの仕事だなと心底感心させられました。

「映画の仕事に携われて本当に幸せでしたね。間違いなく私の天職でしょうね。映画の神様ありがとうですね」。ここまで言い切れる方はなかなかいないと思います。「生まれ変わったら?」「もちろん映画でしょう。映画っていうものがあってよかったですね。人生のすべてですから」としみじみ語っておられました。

 生徒たちのネタの部分で「(セオリーにとらわれることなく)まず好きなことをしいや」と言っていますが、私も好きなことを仕事にさせてもらっている一人として、水野さんの生き方に少なからず影響を受けているかもしれません。天国では世界中のスターと映画談議に花を咲かせておられることでしょう。

(本多正識/漫才作家)

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