自社株買いは「割安株」のシグナル 企業の位置づけが「株主還元策」から「投資の一形態」に【株のカラクリ】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年2月2日 9時26分
アップルは2024年5月1100億ドルの自社株買い計画を発表(ロイター=共同)
【ベテラン証券マンが教える株のカラクリ】#143
日本企業の自社株買いが増加しているが、その目的もいま大きく変わろうとしている。
言うまでもなく、自社株買いは市場から自社株を直接買い戻すこと。それを消却することによって1株あたりの価値が高まるから、自社株買いは株主還元策であると位置づけられてきた。
ところが最近は、事業投資やM&Aと同じように「投資の一形態」とみなす企業が増えているのだ。例えば、日立製作所は資産売却で得た資金の使途を決める際、成長投資と自社株買いのどちらが投下資本利益率の改善効果が大きいかを比較する。またソニーグループは2027年3月期までの中期経営計画で、M&Aなどの戦略投資枠1.8兆円の対象に「機動的な自社株買い」を含めた。
「株主のため」だった自社株買いが、「自社のため」に変貌しつつあるのだ。
こうした動きは米国では早くから積極的で、主だった企業が自社株買いをするのは当たり前になっている。
米国のアップルは24年5月、米史上最大規模となる1100億ドル(約17兆円)の自社株買い計画を発表。これによって同社の10年間の自社株買いは総額6600億ドル、約80兆円にも達している。これが同社の時価総額が史上初めて3兆ドルを突破する原動力となった。
自社株買いが発表されると、株価は上昇し、株主は喜ぶものだが、保有していない投資家にプラスはない。しかし、これからは違ってくる。見方を変えたほうがいいだろう。
企業の実態を一番よく知る立場にあるのは、その経営者である。経営者が新規投資やM&Aなどに資金を投入する代わりに自社株買いを実施するということは、「自社の株価が割安だ」「上昇の余地あり」と市場にシグナルを発することでもあるのだ。
24年度は11月時点で9.5兆円と、前年度の7.5兆円を大きく超えた自社株買い。投資家は経営者のシグナルを注視しながら、株式投資の参考にすべきであろう。 (丸)
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