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物忘れは認知症の初期症状? “医学的な物忘れ”ではない場合も【第一人者が教える 認知症のすべて】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年2月4日 9時26分

 認知症以外の脳の病気で、認知症に似た症状が出ている可能性もあります。例えば、正常圧水頭症です。

 頭蓋内には脳脊髄液という液体があり、脳脊髄液は脳の中の脳室で常に作り出され、入れ替わっています。しかし何らかの要因で脳脊髄液がうまく吸収されないような状態が起こると、頭蓋内で脳脊髄液がたまり、脳を圧迫し、脳の機能を麻痺させます。

 正常圧水頭症では、物忘れをはじめとした認知障害、そして歩幅が小さくなったりすり足になったりといった歩行障害、尿失禁などの排尿障害が起こります。 

 認知症と間違えやすい症状が出る脳の病気としては、慢性硬膜下血腫もあります。

 頭部外傷後、頭蓋骨の下にある硬膜と脳の間にじわじわ血液がたまって血腫ができ、脳を圧迫するのです。ただ、転倒してすぐに症状が出れば「転倒したことが関係しているのでは?」となるかもしれませんが、症状が出てくるのは数カ月後。物忘れがあっても、転倒と関連づけて考えにくい。

 それでも病院を受診すれば、認知症に詳しい医師は、認知症以外の可能性も考えて検査を行いますから、適切な処置につながるでしょう。注意力・集中力散漫による物忘れや、年齢的な問題の物忘れではないと感じたら、速やかに病院を受診すべきなのは、そのためです。

 神奈川県に住む女性は、70代の父親の物忘れがひどいことから認知症を疑い、どう説得して病院へ連れて行こうかと頭を悩ませていました。父親の性格上、「認知症の検査を」なんて言おうものなら、激高するだろうと思ったからです。

 しかし、体や脳の病気で物忘れが起こることもあると知り、「最近、健康診断を受けていないから検査してもらわない? せっかくなので私も一緒に受ける」と父親に言ったところ、すんなり受け入れられ、ともに病院へ。MRIで慢性硬膜下血腫が見つかり、その治療によって、父親は物忘れがなくなったそうです。

(新井平伊/順天堂大学医学部名誉教授)

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