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新築マンション市場の調整期で注目…常設型モデルルームで「バーチャル化」が加速する要因

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年2月6日 9時26分

新築マンション市場の調整期で注目…常設型モデルルームで「バーチャル化」が加速する要因

バーチャルショールーム(撮影)筆者

【不動産業界 噂の現場】

 首都圏の新築マンション市場は、2024年に大きな転換点を迎えたのかもしれない。不動産経済研究所の調査によると、供給戸数は前年比14.4%減の2万3003戸と、1973年以来の最少を記録。2000年の供給戸数9万5635戸と比較すると、実に76%の減少になった。一方で、平均価格は7820万円と高値圏を維持しているものの、前年比3.5%のダウンは6年ぶりの下落となった。

 供給戸数の大幅な減少と価格調整の兆しが見える中、デベロッパー各社はコスト削減と効率化を迫られている。特に物件ごとに建設・撤去を繰り返していたモデルルーム運営の見直しは急務となっており、複数物件を集約した常設型の販売拠点に移行する動きが活発化している。

 マンション販売大手の三井不動産レジデンシャルも、「三井のすまい 日本橋サロン」を昨年末にリニューアルオープン。大型LEDビジョンと実物展示を活用したバーチャル体験型の販売手法を導入し、購入検討者に、従来よりも具体的な住まいのイメージ提供を狙う。

 また「人材の有効活用と業務効率化の観点からも、常設型サロンでの集約的な販売体制が必要」(同社担当者)だという。

■豪華なモデルルーム文化は時代遅れ?

 マンションのモデルルームは1970年代後半に「ライオンズマンション」で知られる大京が最初に始めたものとされ、建物の完成前から物件を販売することで、デベロッパーは工事資金の一部を前受け金として確保でき、資金繰りの安定化が図れた。また、販売状況を見ながら段階的な価格設定を展開できたのも大きい。

 購入者側も、内装やオプション設備の検討時間を十分に取れるメリットがある。

 しかし、一等地での用地確保や内装工事には多額のコストがかかり、さらに賃料も相場を上回る水準を要求されるのが一般的だった。撤去費用も含め、販売経費を押し上げる要因となってきた。

 大手デベロッパーの社員は「これまでは豪華なオプションの『盛ったモデルルーム』で購入意欲をあおる手法が主流だったが、実際の引き渡し物件との差異がSNSで指摘されるなどやり過ぎも問題になった。新築物件は希少性も高く、放っておいても売れる状況だ。豪華なモデルルーム文化は時代遅れかもしれない」と語る。

 ここ数年、首都圏の市場では新築よりも中古マンションの方が売買数は多く、入居中物件でも内覧を効率的に実施できるバーチャル内覧の需要は高まっていくだろう。

 半世紀にわたって、日本人のマイホームへの憧れを形にし続けてきたモデルルームは、実物以上にリアルなバーチャル空間へと移り変わろうとしているのかもしれない。

(ニュースライター・小野悠史)

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