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TBS「御上先生」から目が離せない!熱血系でもヤンキー系でもない、異色の社会派ヒーローもの(桧山珠美/コラムニスト)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年2月9日 9時26分

TBS「御上先生」から目が離せない!熱血系でもヤンキー系でもない、異色の社会派ヒーローもの(桧山珠美/コラムニスト)

松坂桃李(C)日刊ゲンダイ

【桧山珠美 あれもこれも言わせて】

 武田鉄矢「3年B組金八先生」、山下真司「スクール☆ウォーズ」、反町隆史「GTO」、仲間由紀恵「ごくせん」などなど風変わりな教師が主人公の学園ドラマ。そんな歴代学園ドラマを見て教師になりたい、と思った人も多いことだろう。

 だが、現実の教育現場はそんなに甘くない。過酷な労働環境にモンスターペアレンツと化する保護者や、PTAの対応などに疲弊。夢破れて心も病み、辞職する教師も多いと聞く。もはや教師は聖職でも憧れの職業でもなく、なりたい人も少なくなり、人材は常に不足しているとか。

 だからか、最近はひきこもり、家庭格差など教育現場が抱える問題や闇の部分ばかりがクローズアップされる。それならいっそ賀来賢人主演「今日から俺は‼」や間宮祥太朗主演「ナンバMG5」の笑えて泣けるヤンキー系がスカッとするが、そうもいかない。

 TBS系日曜劇場「御上先生」も、そんな闇系の学園ドラマだ。学校が舞台だが、教育現場や官僚の闇に立ち向かう社会派ヒーローものだ。

 脚本は映画「新聞記者」の詩森ろば(高石明彦、藤井道人と共作)。元々は演劇畑の人で、これまでに手掛けたテレビドラマは「群青領域」「この花咲くや」2本と寡作だが、社会問題への斬り込みは鋭い。主演の松坂桃李は「新聞記者」で第43回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。脚本と主演の相性も良い。

 松坂演じる御上孝は東大卒の文部科学省エリート職員で官僚派遣制度によって私立の有名進学校の隣徳学院に出向。もっとも、それは表向きの話で、実は官僚の天下り斡旋の責任を負わされた左遷人事らしい。

■「金八先生」批判も解禁か?

 重要なテーマになっているのが「パーソナル・イズ・ポリティカル(個人的なことは政治的なこと)」。御上は生徒に「考えてみて」と促す。初めて教壇に立った御上は「君たち、自分のことエリートだと思ってる?」と挑発。エリートの本当の意味は「神に選ばれた人」だと。そして「日本人はエリートは高い学歴を持ち、それにふさわしい社会的地位や収入のある人間のことだと思っているけれど、そんなものはエリートなんかじゃない! ただの上級国民予備軍だ」と言い放つ。

 こんなシーンも。御上が担任になったことで副担任になった是枝(吉岡里帆)に対して「とある有名な学園ドラマの新シリーズが始まるたびに日本中の学校が荒れて学級崩壊が起きるんです」と言い、さらに、「生徒のために奔走するスーパー熱血教師以外、教師にあらず、という空気をつくってしまった」と。作品名こそ明らかにされなかったものの、暗に「金八先生」を指しているのは言うまでもない。

 昨年「金八先生」の脚本を手掛けた小山内美江子が亡くなり、「金八先生」批判も解禁されたのか。「金八先生」のTBSが挑む令和の学園ドラマから目が離せない。

(桧山珠美/コラムニスト)

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