1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 芸能総合

女優・剣幸さん「中畑清さんの引退試合のホームランを見て退団を決めた」【その日その瞬間】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年2月10日 9時26分

 宝塚の制服を着ていると「ファミリーランド」っていう遊園地に無料で入れてもらえるのですが、授業が終わってみんなが個人レッスンに行くのに、私はひたすらそこのジェットコースターに乗ってました。

 先輩から舞台人として必要な言葉をいただいたのも貴重な体験です。それが「欲を持て」。何かをこうしたいという欲を持て、と。食事一つとっても「お茶漬けでいいやはダメ、あれが食べたいこれが食べたい」じゃないとダメと言われた。ちなみに食べたいものを聞かれたら、肉と答えます(笑)。私の3食は今もそれで回っています。シャトーブリアンが大好きです(笑)。

 その後の大きな決断は宝塚をやめる瞬間。トップを5年務めましたが、4年経った頃から「若い人にバトンタッチしていかなきゃいけないし、次、何しようかな」って思っていました。それではっきり引退を意識したのは読売ジャイアンツの中畑清さんの存在です。引退試合でホームランをかっ飛ばしたのですが、「なんてかっこいい引き際だ」と衝撃的で。私、野球が大好きなんです。

 それを見た翌日、退団届を出しました。「もう1年待ってくれ」と言ってくださったのはすごくありがたかったけど。その後、随分経ってから知人を介して中畑さんとお食事したことがあるんですが、「おまえのファンに俺すげー責められたぞ」って(笑)。

 辞めてからは俳優のお仕事をいただけて今日に至っています。

■井上ひさしさんに「芝居は生きもの」と教わった

 女優として人生を変えた出会いは劇団「こまつ座」の井上ひさしさんですね。鵜山仁さんや栗山民也さんの演出が自分が思っているお芝居の作り方じゃないのが一つ。それから井上さんの遅筆です。2作目の出演の時は初日が2日遅れました。井上先生は稽古場で台本を1枚ずつ作るんです。だから最後がどうなるかわからない。楽しくて刺激的というか。だから初日が開いた時の感動たるやすごいものがありました。先生のつむぐ言葉の奥の深さを目の当たりにして「芝居は生きものだ」と感じました。台本の隅々まで先生がどういう思いでお書きになっていたか。先生が言葉にかけた思いを役者としてもやっぱり大事に大事に言わなきゃいけないと考えさせられました。

 今月13日には舞台「ナイト・ウィズ・キャバレット」が始まります。俳句を作る男女の16年を描いた物語です。1941年まで日本が戦争に向かう前までの物語です。大正時代は割と華やかで自由だけど、日中戦争が始まって言論の自由も奪われていく。時代とともに2人の関係もどんどん変わり、面白さ、危うさ、俳人の持ってる奇妙さが浮き彫りになる。そんな人間ドラマが見どころです。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください