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トランプ大統領が表明 USスチール問題「買収ではなく投資」の今後…日本製鉄に妙案はあるのか?

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年2月10日 11時12分

トランプ大統領が表明 USスチール問題「買収ではなく投資」の今後…日本製鉄に妙案はあるのか?

「買収を成し遂げる」と、日本製鉄の森高弘副会長(C)共同通信社

「買収ではなく、多額の投資で合意した」

 日本製鉄によるUSスチール(USS)の買収計画について、日米首脳会談後の記者会見でトランプ米大統領がこう表明。どうやら日本側が計画の「修正案」を提示したらしく、石破首相は9日に出演したNHK番組で「米国の企業であり続け、高い品質のものを作ることが、トランプ氏にしてみればすごく大事なことだ」とトランプの意図を補足してみせた。

 だが、具体的にどういう修正で、どんなスキームになるのかよく分からない。日鉄も「コメントできない」と回答するのみ。トランプ大統領は今週、日鉄の幹部と会談し、協議する考えを示しているから、日鉄側も慎重になっているのだろう。

 日鉄の計画は、北米子会社を通じてUSSの全株を取得し、完全子会社化するもの。買収完了後は北米子会社とUSSを合併し、USSの社名やペンシルベニア州の本社所在地も残す予定だ。買収額は141億ドル(約2兆円)。新たに27億ドルの設備投資を見込む。

 日鉄の森高弘副会長は今月6日時点でも「このスキームにフォーカスして成し遂げる」とあくまで買収による完全子会社化を目指すと強調していた。トランプ大統領の言う「買収ではなく投資」で、日鉄が満足できるスキームがあるのかどうか。

■“解釈変更”がベストだが…

 企業のM&Aに詳しいジャーナリストの井上学氏は、「考えられるスキームは4パターンある。日鉄にとって最も望ましいのは、①トランプ氏が現状の買収計画のままでも『投資だ』と“解釈変更”してくれること」と話す。他には、②全株取得ではなく、49%の取得に抑える。これなら買収にはならず、トランプの顔を立てられる。中間選挙後など後で株を買い増して過半を得る。③両社で持ち株会社を設立し、その下にそれぞれがぶら下がる。ただ、②も③も日鉄は経営の主導権を取れず、投資の回収に不安が残る。「最悪なのは、④ライバルの『クリーブランド・クリフス』と合弁でやってくれと言われることでしょう」(井上学氏)

 経済評論家の斎藤満氏はこう見る。

「投資と買収は概念が全く違います。投資は儲かっている会社に対して行うことが前提。USSは経営難に陥っていて、買収なら日鉄型の経営で立て直せるメリットがあった。ただの投資では意味がなく、経営を変えられるだけの影響力を行使できるのかどうか。投資の概念の中でどこまで経営に関与できるのかどうかでしょう」

 トランプ大統領は9日、「日鉄はUSSの株式の過半数を保有しない」と強調した。日鉄は苦しい対応を迫られそうだ。

  ◇  ◇  ◇

 泥沼化している日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール(USS)の買収計画。コトの発端など、●関連記事『【もっと読む】今さら聞けないUSスチール買収計画の「なぜ」…バイデン大統領の阻止に同社CEO激オコ、日本製鉄は猛反発』で詳報している。

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