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備蓄米放出でも政府はコメ価格を下げる気なし…識者が見解「相場を維持したい」思惑とは

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年2月11日 9時26分

備蓄米放出でも政府はコメ価格を下げる気なし…識者が見解「相場を維持したい」思惑とは

政府備蓄米を保管している福島県矢吹町の倉庫(C)共同通信社

「令和の米騒動」といわれた昨年の夏、秋の新米シーズンになれば価格は落ち着くはず……。そう思われたが、年が明けても価格は落ち着くどころか、2月からさらに上がりだす始末。

 コメ価格の高騰を受けて、先月31日、政府はようやく備蓄米の放出を発表。江藤農相は7日に早期実施の考えを表明した。これで米騒動は収束するかと思いきや、そうはならないというのだ。

 不作や災害など、緊急時に放出される政府備蓄米は、毎年1~6月に入札した売り渡し申し込み資格を持つ業者(JAや集荷業者)が、農家から集荷したものをストックしている。その一部が今回JAなどの集荷業者を通じて市場に供給されるのだが、放出した同量のコメを政府は1年以内に買い戻さなければいけない。

「一時的に市場に貸し出す形です。現在、業者間で60キロ=4万~5万円で取引されているコメの上限価格は、これによって3割ほど下がるといわれています。しかし、一般的に食べられているコメの価格は変わらないとみていいでしょう」(米流通評論家の常本泰志氏)

 通常、備蓄米の落札価格は他に比べて安値で推移するが、今年、農家に前払いするJAの概算金が昨年より高くなる見通し。そのため、備蓄米の落札価格もそれに連れ高する可能性が高いという。

「備蓄米は毎年17万トンほど買い上げられますが、今年は17万トン+放出分を政府が買い上げることになります。令和7年産の備蓄米の落札価格がJA概算金を下回れば、農家からの集荷が困難になるので、必然的に価格は上昇することになるでしょう」(常本氏)

店頭在庫の枯渇は消費者パニックも一因

 令和6年産米の作況指数は101と不作でなかったにもかかわらず、なぜコメが出回らないのか。

「メディアでコメ不足が叫ばれ、消費者がパニックを起こして買いだめに走ったことも一因です。これによって、多くの業者が余剰在庫の確保に走り、近年見たことがない金額で取引され、それが店頭価格に影響しています。あるところにはあるので、備蓄米放出のタイミングでコメが市場に出回るはず。消費者は決して慌てないことです」(常本氏)

 しかし、備蓄米放出で供給は増えるものの、政府からは相場を下げる意思が感じられないという。

「農家の所得が一定以上になれば農水省は補助金をカットできるので、今の相場を維持したいのがホンネではないでしょうか」(常本氏)

 今年も結局、コメは安くならないようだ。

  ◇  ◇  ◇

 一般的なコメが5キロ5000円も…価格高騰で「コメ転がし」マネーゲーム化の動きを、関連記事【もっと読む】で詳しく報じている。

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