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歩りえこさんは生涯完治せず…大腸がんのつらい術後後遺症を避ける治療プラン

日刊ゲンダイDIGITAL / 2026年2月14日 10時35分

歩りえこさん(C)日刊ゲンダイ

【Dr.中川 がんサバイバーの知恵】

 タレントの歩りえこさん(44)が大腸がんでの闘病の様子を自身のSNSに投稿し、話題を呼んでいます。手術を受けた病院に3週間に1度通院していて、今回の投稿も通院時の一コマのようです。

 それによると、術後の後遺症として排便障害に苦しまれているようで、整腸剤や便を一時的に止める薬、便秘用の下剤、お尻かぶれのための軟膏などが処方されたといいます。主治医には「(排便障害が)最低でもあと1年は続き、術後のレベル10が3くらいまでは治っても、完治は生涯ない」と言われたそうです。それでも前向きに闘病されているのは何よりだと思います。

 日本では15万人以上が大腸がんと診断され、5万人以上が大腸がんで亡くなります。罹患数はがんの中で最多ですから、大腸がんの術後後遺症問題は人ごとではありません。

 大腸は結腸と直腸に分かれ、術後後遺症が多いのは直腸がんです。日本では、直腸がんが大腸がん全体の4割を占め、欧米より多い傾向です。

 直腸にがんができると、骨盤の方に向かう血管や神経に沿ったリンパ節に転移しやすいため、直腸がんの手術ではそのリンパ節も一緒に切除するのが一般的です。そうすると、その神経にも少なからず影響が及びます。その神経は排便や排尿のほか性機能などをつかさどるため排便や排尿の障害のほか、性機能もダメージを受けやすいのです。

 腸を切除すると、術後に癒着が生じ、その影響で腸閉塞になることもあります。こうした術後後遺症は生活の質を損ないますから、手術を受ける前には主治医に相談したり、セカンドオピニオンを取ったりして治療法をしっかりと吟味することが大切です。

 結論からいうと、術後後遺症を避けることはできます。そのための選択肢が術前化学放射線療法と抗がん剤です。化学放射線療法とは、放射線と同時に抗がん剤を行う治療法で、これを単独もしくは、その後の抗がん剤とセットで行うと、3~4割の確率で腫瘍が消失し、その後の手術が不要になります。

 もうひとつは、遺伝子変異の有無をチェックすることです。ミスマッチ修復機能欠損という遺伝子変異があると、免疫チェックポイント阻害剤がとてもよく効き、多くのケースで免疫チェックポイント阻害剤のみで腫瘍が消失することが報告されています。

 そのミスマッチ修復機能欠損の有無を調べる検査は保険適用ですが、検査を受けているのは3割ほど。多くの方は慌てて手術を受けているのが現状です。せっかく術後後遺症を免れるチャンスがあるのに、使っていない方が圧倒的なのはもったいないでしょう。

 大腸がんは今後も増加傾向ですから、術後後遺症を避ける、もっといえば手術そのものを避けられる可能性があることは覚えておいて損はありません。

(中川恵一/東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授)

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