おしどりマコさん明かす ガスが止まっても福島に通う意味

日刊ゲンダイDIGITAL / 2017年3月21日 9時26分

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夫婦漫才「おしどり」のマコ&ケン(提供写真)

 先月「NNNドキュメント」(日本テレビ系)で「マコ&ケンの原発取材2000日」が特集された、ジャーナリストでもある夫婦漫才「おしどり」。3・11から6年、困窮に陥りながらも、福島第1原発の現状を見続けてきたマコさんに話を聞いた。

■芸人活動と並行して原発取材

――3・11を機にジャーナリストを始めた動機と、東電の反応は?

「直ちに影響はない」という報道があふれた時、テレビに出てるタレントたちが東京から避難してるのを目の当たりにし、何が起こっているのか自分で調べようと。初めて会見に行った時は東電に甘く見られた気がしますが、でも、東電はすべての記者さんに「どうせ原子力のことわからないでしょう、だから的外れの質問をして」という感じで。今、私はさまざまな誤りを指摘し続けるので、東電は何度も訂正したり謝罪したり。新しい会見担当者が来られるたび、「お手柔らかにお願いします」と挨拶されます(笑い)。

――お金は大変では?

 福島に通う交通費がかかるので、ガスや電話は何度も止まって。仕事を失うかもしれないから自分の言いたいことを言わず、やりたいことをやらないという方々をたくさん知っています。でも、私は数週間後までは生きられるだろうと想定できるくらいのお金と、こんな世の中になったらいいなぁというビジョンだけで十分なんです。年金や税金の分割払いは大変ですけど!

――2号機のデブリ映像がニュースになっていましたが、ただでさえ難しい廃炉、危険もあるのでは?

 ガレキ撤去のときに舞い上がるダスト。作業員の高線量被ばく。地震や点検作業ミスでたびたび止まる、溶け落ちた燃料や使用済み燃料プールの冷却。1、2、3号機ではガレキ撤去して使用済み燃料棒を取り出す予定ですが、溶け落ちた燃料がどこにあるか、調査すらうまくいってない。原子炉建屋のすぐ近くの、何カ所も切れ目のある高さ120メートルの排気筒を撤去する計画は、線量が高すぎて人間は無理なのでロボット開発を待っている状態。危険がずっと続きます。汚染水はどんどん増えるのに、もう敷地内に汚染水をためるタンクを増設する場所がなく、行き詰まってます。

■ハミガキするように社会のことを考えて動くこと

――芸人から原発事故の汚染のことを聞かれますか?

 奥さまが妊娠されたり出産されたりという先輩芸人から、「食べ物はどういう状態? とくに魚は? 赤ちゃんを洗う水道水は?」とかよく聞かれます。だけど、気にされている方は、もともとよく調べられていて、厚労省や福島県の食品測定の数値を見ています。

――特集番組の反響は大きかったですか?

 外を歩いてると「番組見ました、私も自分でできることを探して何かします!」と声をかけられたのがうれしかった。「頑張ってください、とか他人任せなことは言いません、私も頑張ります!」というSNSのメッセージもありがたかったです。私はこの先いつまで取材を続けるとか、決まった目標はありません。自分がどうなりたいかより、どういう社会に住みたいかという目標しかないんです。たくさんの方々が知りたがりになって、ハミガキするように社会のことを考えて動くことが当たり前になったら、いろんなことがどんどん変わるなと思っています!

(聞き手=松野大介)

▽本名・吉岡雅子。兵庫県出身。2003年に芸人のケンと結婚し、お笑いコンビおしどりを結成。アコーディオン担当。芸人活動と並行し、ジャーナリストとしては「DAYS JAPAN」やウェブマガジン等に連載。

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