混乱は必至…「東芝メモリ」売却中止で“IPOに舵”の皮算用

日刊ゲンダイDIGITAL / 2018年5月17日 9時26分

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東芝・車谷会長の判断は?(C)日刊ゲンダイ

 東芝は半導体子会社の「東芝メモリ」を予定通り売却するのか――。市場の関心は、この1点に集中している。

 15日、東芝は18年3月期の決算を発表。最終利益が8040億円に達し、7年ぶりに過去最高益を更新した。ただ、この数値は米ウェスチングハウス(WH)にからむ利益など特殊要因だ。

「18年3月期に東芝メモリはどれぐらい稼いだのか。それを知ると売却中止もあり得ると思わざるを得ません」(市場関係者)

 東芝メモリは、売却前提(非継続事業)のため18年3月期の売上高や営業利益に含まれないが、非継続事業分を上乗せすると、売上高は3兆9476億円→5兆6億円、営業利益は641億円→5295億円にハネ上がる。その差(売上高約1兆円、営業利益4654億円)が東芝メモリの実力だ。

「東芝メモリを失った後の東芝本体はいわば抜け殻です。大企業から中小企業に成り下がるといってもいいでしょう」(株式アナリストの黒岩泰氏)

■大株主のファンド勢は売却より稼げる

 東芝メモリの売却に関しては中国当局の独禁法審査を待っている状態。今月28日が審査の最終期限とされる。車谷暢昭会長兼CEOは15日の決算会見で、「売却の方針は変わらない」と強調した。

「車谷会長はそう発言するしかないでしょう。でも市場はもうひとつのシナリオで動き始めています。売却ではなく、東芝メモリの新規株式公開(IPO)です。決算数字を見て、東芝経営陣はIPOに舵を切るという見方が強まり、東芝の株価は上昇しました」(IMSアセットマネジメント代表の清水秀和氏)

 東芝の大株主である旧村上ファンド系のエフィッシモ・キャピタルや、米エリオットなど投資ファンドはIPOに切り替えるべきと主張しているという。売却(約2兆円)よりIPOのほうがメリットは大きいとの判断だ。香港のファンドは東芝メモリを「3兆~4兆円の価値」とはじいている。

 一方で、売却中止に踏み切ったら、「銀行や投資家との約束を破るのだから、東芝の信用力は地に落ちる」と非難する金融関係者も多い。

 中国当局の判断が出る今月下旬が、東芝の運命の日だ。

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