阪神株主総会で露呈 野球素人の“お偉いさん”が肩で風切る不安

日刊ゲンダイDIGITAL / 2019年6月20日 9時26分

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18日の楽天戦に敗れて厳しい表情を魅せる(中央右)(C)共同通信社

 決して、無風だったとは片付けられない。

 13日に行われた阪神タイガースの親会社、阪急阪神ホールディングス(HD)の株主総会。株主のひとりがドラフトについて、「他球団のスカウトは腹を抱えて笑っている。ドラフトで笑いをとる必要はない。回転ずしにたとえると、大トロやウニの皿が目の前を流れているのに手を出さず、タコやイカの皿からとっていくというのが毎年の印象」と言ったのだ。

■編成トップがへそ曲がり

 マスコミではこの「回転ずし」が大きく取り上げられたが、一方でこの株主はこうも言っている。

「元球団社長の野崎(勝義)さんが『優秀なスカウトこそ、スカウトしてこい』と言っているという記事を読んだ。スカウトが悪いのか編成トップがへそ曲がりなのか、親会社を含めてフロントに正しい判断ができる人がいないのかわからないが、原因は必ずあるはずだ」

 この指摘に株主への回答者だった阪神電鉄の百北幸司常務は、通り一遍の言葉を並べた揚げ句、今季のドラフト1位新人の名前を近本ではなく木浪と言い間違える始末。阪急阪神HDの角会長から、昨年ドラフトの方針の説明を促されるシーンもあった。終始、アタフタしていた。

 球団トップの藤原崇起オーナーは別の株主から外部取締役の不在を指摘され、「球団役員はどの球団も、ほぼ親会社からの発展形になっている。ほぼ社外取締役はいないと認識している。阪神の球団職員の中にも、いろんな経験をしている者がいる。そのあたりが意見を交わし、新しいタイガースを模索している。ハイブリッドな経営になっているかと思っている」と回答したが、さる阪神OBはこう言う。

「阪神の役員は、揚塩健治社長ら出向者を含め、親会社の役員で構成されている。部長、課長職も電鉄の社員が多い。外部出身や選手上がりは部長に昇進できれば御の字です。阪神は、『電鉄出身のお偉いさん』が動かしている。こうした閉鎖的な会社の体質が、2005年以降、優勝から遠ざかる要因を招いているといっていい」

 実際、昨年の金本監督の“解任劇”は親会社主導で行われた。

 金本続投を決めていた球団は、10月10日までに谷本修副社長兼球団本部長が宮崎へ足を運び、当時の矢野二軍監督に一軍ヘッドコーチ就任を打診。他のコーチ陣にも新ポストを提示したが、あろうことか同じ日に藤原オーナーの命を受けた揚塩社長が最下位に沈んだ金本監督に対し、19年、20年の2年間の契約を残しながら、“辞任勧告”をしたのだ。球団の副社長すら、まったく知らされていなかったというとんでもない舞台裏だった。

 かねて阪神に対しては、外部の血を注入すべきとの意見がある。以前、元球団社長の野崎勝義氏は本紙のインタビューで、「外部から優秀な人材を入れ、能力のない人は据え置く。フロント内部も競争する組織でなければ、コンスタントに勝てるチームにはならないと思うのです」と話している。

 たとえばパの首位を走る楽天は元選手の石井一久氏が取締役兼GMを務め、同3位の日本ハムの吉村浩取締役兼GMは外部出身だ。他球団の役員には、親会社からの出向者であっても他の会社からヘッドハントされた優秀な人材が少なくない。巨人もつい先日、グループ会社とはいえ、日本テレビ出身でNPBエンタープライズでも社長を務めた今村司社長が就任した。広島のような松田元オーナーを中心とする「家族経営」で結果を残せればいいが、阪神は人気と資金力があるのになかなか優勝できない。

 それでもなお、野球は素人のお偉いさんが肩で風を切る阪神。株主じゃなくとも先行きが不安になってくる。

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