公取委推進「芸能界大改革」にジャニーズも吉本も戦々恐々

日刊ゲンダイDIGITAL / 2019年8月30日 9時26分

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草彅、稲垣、香取の元SMAP(左)。右は、吉本興業の岡本社長会見(上)と宮迫と田村の謝罪会見/(C)日刊ゲンダイ

 芸能界に風穴をあけることができるか――。

 公正取引委員会は27日、自民党の競争政策調査会で、芸能事務所がタレントと交わす契約や取引について、具体的にどのようなケースが独占禁止法に抵触する問題となるのかを発表した。

 それによれば、以下のような行為が、独禁法が禁じる「優越的地位の乱用」や「取引妨害」にあたる恐れがあるという。

①移籍・独立をあきらめさせる

②事務所の意向による一方的な契約更新

③著しく低い報酬で活動させる

④出演先や移籍先に圧力をかけて独立後の活動を妨害

 今後、芸能事務所や業界団体に周知を図り、改善を支援していくという。

 公取委が芸能界に対してこうした見解を示すのは初めてだが、「芸能人はなぜ干されるのか?」の著者で、2017年には公取委で「独占禁止法をめぐる芸能界の諸問題」の講演も行ったジャーナリストの星野陽平氏はこう話す。

「今まで日本の芸能界は『タレントは商品』と考えており、商品だからこそ投資するし、勝手な移籍や独立は許さないという考えが主流でした。それでジャニーズや吉本興業のように、業界を独占し移籍や独立を抑止するようになっていました。しかしそうした考えを推し進めると、必然的に搾取や過重労働、人権侵害が起こります。そうした意味では一歩前進と言えます」

 公取委をめぐっては、元SMAPの3人が民放テレビ局に出演しないようジャニーズ事務所が圧力をかけたことが独禁法違反の恐れがあるとして、同事務所を「注意」したと報じられた。一方で星野氏はこう語る。

「今回の件で、朝日新聞は『フリーランスと企業との契約を規制する新法の制定』についても触れていますが、関連して、アメリカ芸能界の“タレント・エージェンシー法”も参考にしておく必要があるでしょう」

■背景に世界を席巻する韓流コンテンツ

 同法は1978年にハリウッドのあるカリフォルニア州で施行されたもので、日本の芸能事務所にあたるエージェンシーを規制する法律。

 契約したタレントに対して前出のような搾取や人権侵害が起こらないよう細かく定められている。

 今後、日本でもこうした法整備が進むのか。

「背景には、政府による“ソフトパワー強化”の思惑があると思います。念頭にあるのは、韓国の芸能コンテンツが世界を席巻していることでしょう。政府は来年にも『文化多様性条約』に批准する方針で、映画や音楽など芸能コンテンツの輸出拡大を考えています。その場合、こうした旧態依然とした芸能事務所の問題が弊害になってくるんです。公取委はやる気満々だと思います。いずれにせよ世界に通用するソフトパワーを育成するため、健全な競争ができるように法整備が必要だと思います」

“義理と人情”をベースとした日本の芸能事務所とタレントの旧態依然とした関係も過渡期に入ったと言えるだろう。

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