市試算で218億円のコスト増 職員が嘆く「ブラック」「ハリボテ」【賛成反対が拮抗 大阪都構想のまやかし】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2020年10月30日 9時26分

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都合が悪い指摘にはケンカ上等(C)日刊ゲンダイ

【賛成反対が拮抗 大阪都構想のまやかし】#8

 大阪市廃止・特別区設置の是非を問う住民投票(11月1日投開票)が3日後に迫った。推進派も反対派も連日、大阪市内の街角で熱い演説を繰り返している。一方、聞こえてこないのが消滅する側の当事者である大阪市職員の声だ。仕方がない。彼らは公務員であり、政治的な発言は控えている。ウカツなことを言おうものなら、庁内で犯人捜しが始まると恐れている。それでも何人かに本音を聞いてみた。

 大阪市の現状はどうなのか。市職員の採用について知人の大学教授は「優秀な学生は大阪府や大阪市への就職を避け、京都市か神戸市を希望している」と語っていたが、市幹部も認めていた。

「大阪市は今やブラック自治体のイメージが広がり、大学などに教員や行政職、また技術や福祉の職員を求めても人材は来ない。競争率は数倍あるが、あれは見せかけ。大阪市が内定を出しても、優秀な人材ほど併願先の自治体に逃げていく」

 大阪市の権限の一部を大阪府に移しても大丈夫なのか。これも市職員の生の声だ。

「大阪市廃止後は市の権限である都市行政が大阪府に移るが、府の職員は経験も能力もない。『都市計画室』の部屋はあっても中身はハリボテ。結局は“元市職員”にやらせるしかないだろう。このような看板倒れの計画は(府市共同部署の)『副首都推進局』がエクセルを使って数合わせをしているだけで、リアリティーが全くない」

 次に財政だ。市財政局の試算では、市を単純に4分割した場合、標準的な行政サービス実施に毎年必要なコスト「基準財政需要額」が合計約218億円増になると報じられた。

 つまり、コスト増だ。財政基盤は弱まり、住民サービス低下の懸念が高まる。大阪維新の会代表の松井一郎大阪市長は「計算方法がそもそもない」などと反論しているが、いかにも苦しい。

 財務に詳しい大阪市関係者は「大阪市は市場からボンド(公募地方債)で資金調達している。これができるのは都道府県と政令指定都市に限られ、特別区では不可能。特別区の資金調達は銀行などとの相対取引になり、今後は調達コストの増加が予想される」と語る。給与支払いなどの仮払いに利用していた市の一部会計が府に移るため、特別区は月々の資金繰りに苦労するだろうとも指摘した。

「市職員の本音は都構想に反対」「府職員の多くも大阪市廃止など論外と思っている。でも声を上げると処分粛清なので黙って仕事している」「大阪府と大阪市はブラック自治体、まるで北朝鮮だ」と嘆く府市職員がいたことも紹介しておく。 =つづき

(吉富有治/ジャーナリスト)

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