河本力に罰打…アマチュアの大偉業達成をぶっ潰したJGAのルール認識不足【世界ゴルフ新潮流】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2020年10月30日 9時26分

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グリーン上のリプレースを巡って2罰打を科された河本(代表撮影)

【世界ゴルフ新潮流】

 日本ゴルフ協会と公共放送NHKのお粗末極まりない出来事が起きた。

 今月行われた日本オープン(千葉・紫CCすみれC)での“事件”であり、大会3日目に首位発進からプロと互角の上位争いを演じたアマチュア河本力(日体大)のルールトラブルである。

 河本は13番でミスショットを連発してダブルボギーをたたいた。それでもスコアを1つ落としただけで通算4アンダーでホールアウト。首位に立った谷原秀人に1打差の2位につけていた。翌日のゴルフメディアは「93年ぶりのアマチュア優勝か」と大学生ゴルファーの健闘を称える記事がにぎわった。

 ところが最終日スタート時に河本のスコアは通算2アンダーになっており、2位から3位に順位を下げていた。テレビ中継を楽しみにしていたファンも訳が分からずに仰天したはずだ。

 だが、NHKアナはルールトラブルで2罰打を科されたことをしゃべったが、肝心の問題シーンを流すことは最後までなかった。実は河本はダブルボギーパットを打つときに、ボールマーカーの前にボールをリプレースして打ったが、ボール位置がマークした場所から数センチズレていたことが、後ほど発覚したという。

 最終日のスタート前にJGAチーフルールディレクターとビデオで再検証。河本本人が事実を認め、「誤所からのプレー」になり2罰打が科された。スコアカードを提出した後だったが違反の認識がなかった理由から、「規則3・3bの例外」が適用され、河本の失格は免れたのだ。

 JGAの裁定にゴルフルール研究家のマイク青木氏がこう指摘する。

「R&AとUSGAによる2019年の規則大改定で、プレーヤーには、出来るだけ罰打を科さないことを鮮明にし、すでに世界のトーナメントで、それに基づいたさまざまな裁定が行われています。私が今回JGAのフェイスブックやユーチューブにアップされた問題のリプレース動画を注意深く、何回も見た限り、河本選手が明らかに誤所からプレーしたようには見えない。仮に彼が意識しないで、少し位置がズレたところにリプレースしてプレーしたとしても、それは新ルールの流れからすれば許容範囲ではないのでしょうか。それを『誤所』からのプレーと厳しく断罪するのは、新ルールの精神から見てもいかがなものでしょうか」

 青木氏の指摘通りJGAが世界ゴルフ界のルール解釈と違う独断裁定なら、認識不足や不勉強のそしりは免れず、さらに93年ぶりのアマチュア優勝という大偉業の可能性をJGAがぶっ潰したことになる。その疑念を解くためにも、きちんとした説明が必要だったのだ。

■問題シーンを映さないNHKの“怠慢”

 それがわが国ルール総本山と権威主義の公益財団法人JGAと、「みなさまのNHK」を標榜する公共放送の使命のはずだ。ちなみに全米オープンや全米女子オープンを主催するルールの最高権威であるUSGAは専務理事を会場に待機させ、重大なルール問題が発生したときは、必ずテレビ画面でルールの処理を克明に説明する。それが責務であるからだ。

 今回のルールトラブル事件は、映像を見せなかったことで2罰打の根拠をしっかり示さなかったJGAとNHKの“怠慢”“無責任”といわれても仕方がない。日本のゴルフ界が世界から大きく取り残される要因のひとつがこんなところにも表れている。

(宮崎紘一/ゴルフジャーナリスト)

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