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元検証委員として叫ぶ 「テラハ」問題でフジを不問に付したBPOは存続の危機だ(斎藤貴男)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2021年4月14日 9時26分

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若くしてこの世を去った木村花さん(右)と母の響子さん(C)日刊ゲンダイ

斎藤貴男【二極化・格差社会の真相】

「フジテレビは、自分たちの番組と花の自死が無関係だったかのような主張ばかり。書類には私を攻撃する言葉が並んでいました。それなのに……」

 フジテレビの人権侵害は、なかったことにされた。さる3月30日、リアリティー番組「テラスハウス」に出演していた女子プロレスラー・木村花さん(享年22)の自殺をめぐるBPO放送人権委員会決定を受けた記者会見で、母親の響子さん(44)が声を詰まらせる。すでに2週間近くが経つが、これで済まされてよい話ではないので、書く。

「私と花とはケンカもしました。いつもべったりではなかったけれど、困ったことがあると連絡をくれる。あの直前もです。フジの人たちは、私たちの日々を何も知らない」

 フジ側の強弁は酷いものだった。彼らが人権委に提出した答弁書を私は入手しているが、番組と自殺との因果関係を否定しているにも等しい内容だ。“いじめ”自殺の責任から逃れようとする学校や教育委員会の手口と、まったく同じなのである。

 だが人権委は、真摯さとはかけ離れたフジの姿勢を不問に付した。彼らはただ、番組のネット配信後に大量の誹謗中傷を浴び、自傷行為に及んだ花さんに、フジは「一定のケア」を行って同じ番組を地上波でも放送したのだから「人権侵害とまでは断定できない」「責任を負うべきは放送局ではなく非難を行った者」だと結論づけている。

 ケアといってもLINEや電話、自宅訪問程度。そもそもチーフプロデューサーに自傷行為の事実が報告されたのは3日も経ってからだというのだから論外だ。精神科の受診も提案したともいうが、なにしろ昨年春のこと、新型コロナの感染拡大で見送られたとか。ならばしっかり診てもらい、異常なしの太鼓判が押されてからの放送を、という選択肢は、ハナから度外視されているようだ。

 人間ひとりを死に追いやることもできてしまうテレビとSNSの連動は、恐ろしいパワーを秘めている。視聴者をスポンサーの意のままに操ることさえも。局にとっては大変な打ち出の小槌だ。

 それゆえか否か、人権委は当該番組に「放送倫理上の問題はある」と指摘はしても、「勧告」を避け、軽い「見解」扱いとした。本来はこの観点での意見書をまとめるべきBPO放送倫理検証委員会は、「テラハ」問題をいまだに放置したままでいる。

 このままでは同様の悲劇が繰り返されかねない。私は元検証委員のひとりとして叫ぶ。BPOの存在意義が問われている。

(斎藤貴男/ジャーナリスト)

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