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ロシアスケーターを支える「妊産婦専用プログラム」日本も見習うべき【岡崎朋美のすべらないい話】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2021年11月26日 9時26分

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1996年W杯で優勝した筆者とロシアのジュロワ(左)/(本人提供)

【岡崎朋美のすべらないい話】#8

 スピードスケートは北京五輪前哨戦といえるW杯の真っ最中。小平奈緒選手をはじめ日本勢の金メダルラッシュが続いているが、開幕直前には新型コロナのPCR検査で選手とスタッフ計10人に陽性者が出るトラブルもあった。

 日本国内ではピークアウトしてきているため、ついつい気が緩みがちだが、海外は状況がまったく違う。ワクチンを拒否している人もいるし、マスクをしないまま大声で話す人も多い。海外では緊急事態宣言中と思って、危機感を持って行動すべき。感染による療養や隔離となれば、体もゼロからつくり上げなければいけなくなる。ナショナルチームもこれを機に、改めて気を引き締めているだろう。

 除菌グッズは海外でも現地調達ができる。私が現役のときも、ドラッグストアのようなお店で売っていた。お土産に、と買い込んだ記憶がある。いろいろ買いすぎて、帰国便でオーバーチャージを取られたことも……。スケートの場合、何といってもスケート靴の刃を研ぐ砥石が重い。当時で2キロ弱。今は1キロくらいに軽量化されたらしいが、困り果てて会社にダメもとで電話したら「(超過金は)会社で出します」と言ってもらい、ガッツポーズした。

■ロシア選手から頼まれた味噌1キロの結末

 重い荷物といえば、2006年トリノ五輪のときに持って行った味噌は1キロあった。自分用ではない。ロシアのスベトラーナ・ジュロワという選手に「ミソスープが飲みたい」と頼まれていたからだ。彼女とは同い年。長野五輪にも出場していてトップを争うひとりだった。1キロのパック味噌を持って選手村で渡すと、とても喜んでいた。

 その後、彼女は500メートルで金メダルを獲得。私は4位だった。「おめでとう!」と言ったついでに「ミソスープのおかげだね! ってことは、金メダルは私のおかげだよね? よ~く覚えといてよ!」と話したら、「イエス、アイライクミソスープ!」と返ってきた。

 彼女はママさんアスリート。出産後、さらに成績を伸ばしていった選手だった。独身の頃は好奇心旺盛で落ち着きがないタイプ。試合では時折ヘマをすることがあった。それが子供を産んで一転、冷静なレース運びができるようになって驚いたのを覚えている。

 ロシアでは、子供を持つアスリートへのサポート体制も充実。出産後に体形や体調が戻らずに苦労する選手が多いが、ロシアは協会が妊産婦がアスリートに戻れるトレーニングメニューやプログラムを作っている。彼女も「そういうシステムがあったから安心してトレーニングに臨めた」と話していた。日本のシステムも変わらなければいけない。

(岡崎朋美/長野五輪メダリスト)

▽おかざき・ともみ 1971年、北海道清里町出身。94年リレハンメルから98年長野、2002年ソルトレークシティー、06年トリノ、10年バンクーバーと日本女子最多の冬季五輪5大会出場。長野で日本女子短距離選手初のメダル(銅)を獲得した。07年に結婚、10年12月に女児を出産。14年ソチ五輪代表入りを逃し、現役引退。20年マスターズ国際スプリントゲームズで世界新記録を更新して金メダル獲得。現在は全国各地で講演会を行う。聖徳大学客員教授。日本学生陸上競技連合理事

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