Netflixアニメ『ラブ、デス&ロボット』のティム・ミラー監督にインタビュー:「Netflixは最高のパートナー」

GIZMODO / 2019年5月15日 18時0分

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好きなエピソードがひとつはあるはず。

今年3月に公開され大きな話題となったNetflixのアニメ・アンソロジー映画『ラブ、デス&ロボット』。今回はその監督・製作総指揮であり、CG会社Blur Studioの創設者でもあるティム・ミラー監督にインタビュー!

今回プロデューサーとして参加しているデヴィット・フィンチャーとの出会いや、Netflixとのコラボ関係、そして話題になった再生順などに関してたくさん伺ってまいりました。

ちなみに、ティム・ミラー監督は前作の『デッドプール』のインタビュー記事でその略歴を紹介していますので、ぜひ合わせてご覧ください。

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──今作は1981年のフランスの漫画誌原作の映画『ヘビー・メタル』のリブートとして始まった作品ですが、それがどうやってこの作品になったのでしょうか?

ティム・ミラー(以下、ミラー):デイヴィッド(・フィンチャー)と、ケヴィン・イーストマン(ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズの作者で、「ヘビー・メタル」誌の権利を当時持っていた)と私が一緒に何年か作ってたのですが、当時の映画会社の人たちはR指定のアニメ映画がお金になるとは考えてくれませんでした。

ジェームズ・キャメロンやザック・スナイダー、ギレルモ・デル・トロもその路線でどうにか挑戦しようとしていましたが、どれも実現していませんでしたからね。映画会社は前例がないものをやることを恐れていたのです。

でも、デイヴィッドと私はなんとしてもやりたい企画でした。そこに恐れ知らずのNetflixが登場し、一緒にやろうとなったわけです。

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──かつて『ドラゴン・タトゥーの女』のオープニングなどもて手がけられていますが、デヴィッド・フィンチャーとはどのようにして出会ったのですか?

ミラー:デイヴィッドは、ちょうど映画『ゾディアック』をやっていたころ、大地震が起こった後のロサンゼルスを舞台にしたゲームを作ろうとしていて、その時にコンセプトのデモを作って欲しいとBlur Studioに依頼してきたのが始まりですね。Blur Studioではいろんなゲームの映像を作っているので。

その時に彼はスタジオに来てくれて、うちのクリエイティブな雰囲気やアーティストたちを気に入って意気投合しました。そしてアニメにも興味を持っていたので一緒にプロジェクトをやろうという話になったのです。

そこから『子連れ狼』のCGアニメなど、いろんな企画を考えていきました。『ヘビー・メタル』もそのひとつで、どうにかアンソロジー映画を作りたいと思っていたんです。

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──デヴィット・フィンチャーとの仕事はいかがでしたか?

ミラー:デイヴィッドの素晴らしいところは、なにより信頼してくれるというところです。今回の作品に関しては彼が『マインドハンター』のシーズン2の撮影中であるということもあって、あまり時間がありませんでした。

なので、こちらがストーリーを見つけて彼がどう思うか意見を聞いたり、また作業途中のものを確認してもらったりするのが主でした。彼の返事を待って作業を止めるというような状態ではありませんでしたが、私は彼の好みをよく知っているので彼は私の判断を信じてくれました。

『ドラゴン・タトゥーの女』の時もそうでしたが、彼は「こういうアイデアがあるんだ。さぁこれをカッコよくちゃんとやってくれ」というタイプの人で、細々と注文をつけてくる人ではありませんね。

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──Netflixとやってみるのはいかがでしたか?

ミラー:彼らは考えうる最高のパートナーで、デイヴィッドと同じく「カッコよくちゃんとやってくれ」と言ってくるだけで、我々を信頼して舵取りを任せてくれました。製作途中の段階のものを見せると、かなり興奮してくれて非常に協力的でしたが、決してクリエイティブな部分での役割を横取りしようとはしませんでした。彼らからも注文はありませんでしたね。

Netflixには、他の会社ではありがちな「自分のアイデアが優れてるってことを証明しようとする奴」はいませんでした。ただ、我々を助けてくれたんです。だからこそ、我々は作品に責任を持って取り組みベストを尽くしました。

Netflixが信頼してくれたのは、彼らとデヴィットはいろいろなプロジェクトをすでにやってきたというのもありますね。我々がNetflixと組むのは初めてでしたが、Netflixはデイヴィッドを信頼していて、デイヴィッドは我々を信頼しているので、話が早かったのでしょう。

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──Netflixといえば、視聴者数などの具体的な情報を開示しないことでも有名ですが、それはクリエイターにも同じですか?

ミラー:我々のところには情報が入ってますよ。ただ、生のデータというより、SNSでどんな反応があるかとかみたいな大まかな情報ですね。決して秘密主義とは言いませんが、オープンというわけではありませんね(笑)。

──『ラブ、デス&ロボット』は視聴者に合わせてエピソードの再生順が変わっていると言われていますが、それは制作段階からのアイデアだったのでしょうか?

ミラー:違いますね。これもまたNetflixの素晴らしいところで、いつも彼らは革新的なことを試していて、今回もそのひとつです。実は今回はNetflixのクリエイティブ・チームだけでなく、プロダクト開発チームとも話し合いをしていて、その中で今までとは違う方法が編み出されました。

実は当初『ラブ、デス&ロボット』は1話6時間半にする予定で、それぞれ3編にまとめて収録するつもりだったのですが、そのアイデアに関してはNetflixが止めてくれました(笑)。それから細かなエピソードに分けリスト化した時に、生まれたのが今回のアイデアでした。

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『ラブ、デス&ロボット』は直線的な連続物ではなく、どこから観ても問題がない作品だからこそ、ああいった形になったのです。SNS上での意見を見ても、お気に入りのエピソードがみんな明らかに違うので、Netflixとしても視聴者に新たな選択肢を与えるという面で興味深いプロジェクトになったと思います。

ちなみに、完全なランダムではなくちゃんと仕組みがあります。たとえばコメディからスタートするものや、ドラマからスタートするものがあるといった感じですね。

──今回のプロジェクトには本当にたくさんのクリエイターやスタジオが参加していますが、どうやって集めたのでしょうか?

ミラー:バラバラですね。今回参加した多くのスタジオがゲーム業界なので、いつもであれば我々Blur Studioの競争相手です。もちろんほとんどの場合、友好的な形でね(笑)。

だからこそ、3分から15分のハイクオリティなアニメを作る時の彼らの仕事ぶりはよく知っていました。

他には、監修で入っているアニメ監督たちがアニメ業界の関係で見つけてきた人たちもいます。私がネットで作品を見かけて気に入ったので直接電話して誘ったというケースもありました。

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──監督としての経験がない人にチャンスを与える場所にもなっていますよね?

ミラー:そうですね。でもそれぞれ多くの人たちがストーリーボード・アーティストだったり、アートディレクターだったり、ちゃんとした経験とセンスを持った人たちです。また、経験が浅いけど、優れた才能を持ってると確信した人たちも起用しました。

とにかく「こういう人を起用する」というルールはなく、とにかくクリエイティブ路線で最高の結果が得られる面々を集めていったのです。

──それぞれの監督にはどういった指示をしたのですか?

ミラー:Netflixやデイヴィッドから「おい、ティム! 何してたんだ!」と言われないようにしましたよ(笑)。

定期的に製作状況を確認して、なにか問題があればすぐに助けられるようにしておきました。ただ、最大の指示は、ストーリーに関しては我々が選んで、ある程度固まったものを渡して作らせたというところでしょう。

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その後の製作プロセスに関しては、しっかりとした段階を踏みました。企画会議から色使いを決める会議などなど、伝統的なアニメ業界での製作プロセスと変わりませんが、それぞれに参加してチェックを怠りませんでした。

そこで我々が出すフィードバックには大小ありましたが、あくまでコラボレーションであって、作品を支配しようというわけではないのです。

──ストーリーを選んだとのことですが、どんな基準で選んでいったのでしょう?

ミラー:自分の好みはかなり幅広いのですが、それをひとつの基準にしていますね。ただ、苦手なものもあって……たとえば、私はホラーが苦手なんです。だって、怖いですからね(笑)。とはいえ、ジャンルとしては取り入れたかったので、チームの中のホラー好きに選んでもらったというものもあります。

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また、5分以上、15分以下の長さにしたかったのでそれに合う長さで、なおかつビジュアル的なスペクタクルが生まれるか、興味深い内容になる映像化する意味のあるストーリーを選びました。

ただ、個人的に英雄的な話や最後の決戦を描く話が好きなので、どうしてもそういうストーリーが多くなってしまったかもしれませんね(笑)。

──個人的にこのシリーズは日本で80年代や90年代によくあったアニメの短編集っぽいエッジな雰囲気を感じたのですが、なにか特別に影響を受けた作品はありますか?

ミラー:『ロボットカーニバル』とかってことですよね(笑)? 我々はみんな大好きですし、確かに影響はあります。アメリカの『Liquid Television』(注:BBCとMTV共同製作のアニメ実験番組)や『アニマトリックス』などもありますね。

あと、私はとにかくたくさんのコミックを読むのですが、ヘビー・メタル誌はもちろん、Eclipse誌(Eclipse Comicsから出版されていたコミック誌)といった短編の詰まった雑誌が好きなんです。中でもSavage Sword of Conan(コナンの短編が掲載される月刊コミック誌)誌が好きでしたね。

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短編集のいいところは、全部のストーリーを気に入るわけじゃないかもしれないけど、1~2本は気にいるのがあるところです。もし、気に入らないストーリーがあっても、時間がたいして無駄にならないのもいいですね。それが短編の魅力であり、きっと『ラブ、デス&ロボット』が気に入られてるのもそういうところなんだと思います。

Netflixオリジナルシリーズ『ラブ、デス&ロボット』独占配信中。

Source: Netflix

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