来月、南太平洋や南米で観測される皆既日食。アンデスの天文台では、コロナや磁場、電離圏に対する影響なんかを調べるみたい

GIZMODO / 2019年6月29日 20時0分

190621eclipse Image: NSO/AURA/NSF

来月、皆既日食が南太平洋、チリとアルゼンチンの一角、そしてアメリカ国立科学財団(NSF)が運営する天文台の真上を通過します。

現在、日食の最中に行なう実験に向けて天文学者と物理学者らは準備を進めています。これまでに観測された日食と同様に、実験は太陽の観測及び日食の地球への影響にも注目するとのこと。ウィリアムズ大学の天文学のJay Pasachoff教授が取材に答えてくれました。

現在、セロ・トロロ汎米天文台にある望遠鏡は太陽を観測する態勢が備えていませんが、研究者らはアンデスの環境とNSFのインフラを活用でき、山頂には新しい望遠鏡を設置してもらえるとか。NSFは、日食中にアメリカ国立太陽天文台を利用できるチームを5つ選抜。そのうち4チームが太陽の大気層の外縁で最も高温な領域であるコロナを研究し、1チームは地球の大気の変化を研究する予定です。

コロナは分からないこと多し。害もあるし

太陽物理学者にとって、日食は役に立つツールになりえます。通常、太陽の光を放射する光球はコロナよりもはるかにまぶしいもの。コロナの撮像には光球を遮るコロナグラフがついた特別に設計された機器が必要…あるいは月が太陽の真ん前を通過すればいいのです。

コロナが好奇心をそそるのには、数多くの理由があります。そもそも単純に、科学者たちが理解できてないことがたくさんあるから。太陽の周期活動が11年であることは分かっていますが、太陽フレアのような太陽の活動の爆発を予測する良い方法はありません。こういった粒子の爆発は送電網、さらには投票機械やGPS衛星に害を与える可能性があります。Pasachoff教授のチームは太陽が放出する異なる光の波長を撮像&測定して、コロナの見た目からの予想を確実なものにしたいと考えています。

Pasachoff教授いわく、コロナの経時的な変化を測定&観測するため、日食が落とす影の間を飛ぶ飛行機に搭載するレンズの用意もしたとか。国立天文台の太陽観測科学プロジェクトの花岡庸一郎氏率いる日本のチームもまた、コロナの経時的な変化を計測するそうで、協力する市民科学者らが南米を通る日食を観測するとのこと。

同教授は、きっと他の恒星もコロナや周期的な挙動が存在しており、太陽のおかげで私たちは近い距離で恒星の挙動を研究できると語っています。

磁場の研究は、太陽フレアをもっと理解するうえで役立つかもしれないと、大気研究大学連合の研究員Paul Bryans氏は説明します。ある方面に動く光波の偏光を測ることで、磁場を測定できます。彼らはコロナ内の特定のケイ素イオンから放出されているある光の波長に特に興味を持っていて、もうすぐ運用開始となるダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡(DKIST)での研究において、有益な太陽の特性になると考えているとか。

さらに、宇宙へと送られる可能性のある光の偏光を測るためにハンディカメラのテストを行なっているそうで、これは太陽の大気に光を遮られることなく太陽を測定するためだとBryans氏は語っていました。

今回の日食は、別の理由においても価値があります。今年は太陽の活動が最小限に近いため、コロナは2017年の日食の最中に見られたのとは別物のように見えるだろうと、ハワイ大学の科学者のShadia Habbal氏は天文学研究大学院連合からのプレスリリースの中で説明していました。同氏は、コロナの経時的な変化を測定する別のプロジェクトを率いています。

日食による大気のゆらぎなども調査

スペインのカナリア天体物理研究所のM. Serra-Ricart氏が率いる5つ目のチームは、地球大気の上層の電離圏における日食の影響を調べます。興味深いことに、2017年の日食は上層大気にゆらぎがあったようだとある研究は発見しており、そのため科学者らはその影響と他の潜在的な特異点についてもっと学びたいとのこと。

残念ながら日本からは観測できませんが、2019年の南米を通過する日食も、2017年と同様に太陽科学にとって多くの刺激的なチャンスを与えてくれることしょう。なお、北米が今度観測できるのは2024年だそうです。

Source: Aura astronomy, Wikipedia

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