もしも第九惑星がボウリング球くらいのブラックホールだったなら

GIZMODO / 2019年10月12日 16時0分

Screenshot: Scholtz and Unwin (arXiv) via Gizmodo US

水金地火木土天海ブラックホール。

今のところ太陽系には8つの惑星が確認されています。(冥王星は2006年以降は準惑星に降格されてしまったためカウントされず。)

もうひとつ、「第九の惑星」がある可能性も指摘されてきましたが、いまだに発見した人はいません。

それもそのはず、実は第九惑星は惑星ではなくて、ボウリングボール大のブラックホールだったとしたら?——こんな斬新な論調の研究が発表され、注目を集めています。

やわらかいアタマのために

論文を書いたのは米イリノイ大学助教のJames Unwinさんと、英ダラム大学の研究員、Jakub Scholtzさん。もちろん、第九惑星の正体がブラックホールだという仮説は可能性としてあまり高くないことを承知のうえで、この論文をきっかけに天文学を志すみんなに柔軟なものの考え方を促したいのだそう。

「第九惑星を惑星と限定してしまうと、探す方法が著しく制限されてしまいます」とUnwinさんは米Gizmodoに語っています。

「原始ブラックホールのように異質な天体の可能性を考慮することで、違う考え方ができるようになります。可視光に頼って探すだけじゃなくて、ガンマ光線を観測してみるとか。あるいは宇宙線だとかね。」

九番目の天体

海王星のさらに先、太陽から一番離れた太陽系の外縁に浮かぶ無数の小天体は、ときおり軌道にブレが生じることが観測されてきました。そのブレから計算すると、地球の5倍から15倍の質量を持つ天体がそばにあり、まわりの小天体の軌道に影響していると考えられるため、「第九惑星」の探求が始まりました。

軌道のブレは太陽系に限ったことではなく、天の川銀河のいたるところでも確認されています。ブレの原因は、もしかしたら惑星かもしれませんし、もしかしたら小さなブラックホールの可能性も?

原始ブラックホール

「原始ブラックホール」は理論上の天体で、まだ誰も観測に成功した人はいません。宇宙が誕生して間もないころの混沌から生まれたと仮定されています。

原始ブラックホールとは、あまりにも密度が高いために強力な重力が働き、光さえも吸い込んでしまう天体。ここは通常のブラックホールと変わらないのですが、原始ブラックホールの質量はもっとずっと小さいんだそう。通常のブラックホールが星のなれはてなら、原始ブラックホールは質量の吹き溜まり。原始の宇宙がものすごいスピードで膨張している時に、質量の偏りが生じて生まれたと考えられています。

Unwin氏とScholtz氏は、この原始ブラックホールが太陽系に飛びこんできてほかの惑星にひっぱられた結果、太陽を周回するようになったのではないかと考えているそうです。

「ホーキング放射」と呼ばれるブラックホールからの熱的な放射によって、原始ブラックホールはとっくに消滅していてもおかしくないのでは?と米GizmodoのMandelbaum記者が聞いてみたところ、たとえ「ブラックホールの質量は地球の5倍くらい」と低めに見積もっても、その寿命は宇宙が誕生してから今までかかった時間よりも長いので今も存在しているはず、と答えています。

小さい小さい闇

もし太陽系の第九惑星がほんとうに原始ブラックホールだったとしたら、従来のやり方で探しても見つかりません。

冒頭の画像は、原始ブラックホールの想像図。もし第九惑星が地球5個分の質量を持った比較的小さい原始ブラックホールだったとしたら、その大きさはあなたの手のひらに収まってしまうくらい(そしてあなたは確実に死に至らしめられるでしょう)。もし地球10個分の質量だったら、ボウリング球サイズ。

そんな極小のものを望遠鏡の目で探しだすのは無理です(というか、ブラックホールだからそもそも見えないはず)。むしろ探すべきは、ブラックホールから間欠泉のように噴き出しているであろう高エネルギーの放射線。これはガンマ線望遠鏡で可視化できるそうです。

第九の衝撃

第九惑星ハンター、Konstantin Batyginさんは、第九惑星がブラックホールであるという斬新な提案を否定はしないものの、「第九惑星は地球5個分の質量をもったハンバーガーかもしれない」と茶化しています。

「ハンバーガーであろうとブラックホールであろうと、計算は同じ。ただし、ハンバーガーのアルベド(太陽の光を反射する割合)は惑星と同じぐらいだけど、お財布並みに小さいブラックホールを見つけ出すのはもっと大変だろう」とも。

Batyginさんは第九惑星がブラックホールだという仮説そのものを否定してるわけではありません。もし今後も第九惑星を発見できず、相変わらず海王星より遠くにある小天体から謎のブレが観測され続けたら、ブラックホールの可能性も検討の余地があるとしています。

原始ブラックホールは仮説として可能性が低いかもしれません。でも科学って、いかに既存の概念を投げ捨ててオープンな視点で物事を考え、実験を重ねて仮説をくつがえすか、ですよね?

太陽系の一番遠いところにまだ誰もみたことのない巨大な惑星が存在していること自体、もし本当だったとしたら「かなりショッキングだ」とScholtzさんは結んでいます。たとえ、それがブラックホールではなかったとしても。

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